新型コロナと胃腸障害

まとめ:新型コロナ感染症、新型コロナ後遺症、ワクチン後遺症で胃腸障害が出現します。主に上部消化管の腸上皮細胞に豊富に存在するACE2受容体にスパイクタンパク質が結合することにより、下痢、腹痛、食欲不振、嘔吐、アミノ酸吸収阻害、SIBOが起こります。異物を消化管から排泄する動きです。腹痛はACE2受容体の発現の多い上部消化管に一致した心窩部から右季肋部に出現することが多いことは指摘されています。

新型コロナ感染症に関する胃腸症状としては、下痢、嘔吐、腹痛が主症状であることが総括されています。(2020, Wang)

新型コロナ感染症で、吐き気と嘔吐が起こるメカニズムが解説されています。(2021, Andrews)

新型コロナ後遺症における胃腸症状が総括されています。(2022, Meringer)

新型コロナ感染症、新型コロナ後遺症では、SIBOを発症することが指摘されています。(2023, Fajloun)

新型コロナ感染症後の1年後の約15万人を対象とした調査で、胃腸障害のリスクが上がっていることが報告されています。(2023, Xu)

新型コロナ感染した入院患者は、12ヶ月後において胃腸障害を呈する頻度は高いが、便秘および硬便の頻度は低かったことが報告されています。(2023, Marasco)

感染後過敏性腸症候群は、食中毒(カンピロバクター菌、サルモレラ、赤痢菌、病原大腸菌)の後に、これらの菌は細胞致死毒素Bに対する抗体が腸の収縮に関係するビンキュリンタンパク(Vinculin)を攻撃することにより過敏性腸症候群を発症した疾患です。新型コロナ感染症後の感染後過敏性腸症候群は、まだ報告されていません。(2021, Settanni)

新型コロナ感染症患者の胃腸症状は、死亡リスクとは関係していないことが報告されています。(2022, Wang)

新型コロナ感染症に伴う腹痛は心窩部から右季肋部に出現することが多いことが指摘されています。ACE2受容体の発現の多い上部消化管に一致しています。(2020, Saeed)

192人の新型コロナ感染症に伴う腹痛を呈した患者では、腹痛が心窩部から右季肋部に集中していることが報告されています。(2022, Balaphas)

ACE2の発現は小腸に最も多く、次が大腸、十二指腸という順番になっています。(2020, Hikmet)