新型コロナとホモシステイン、ビタミンB12

まとめ:新型コロナ感染症、新型コロナ後遺症において、ビタミンB12欠乏およびホモシステイン高値の是正が重要です。

萎縮性胃炎が合併している場合は、経口以外の方法でのビタミンB12の投与が必要です。

新型コロナ感染症において、血中ホモシステインの高値が転帰のリスクに関係することがメタ解析で指摘されています。(2022, Carpene)

新型コロナ感染症から回復しつつある患者では、高レベルのホモシステインへの早期介入により、新型コロナ後遺症で見られるブレインフォグなどの認知障害を防ぐことが報告されています。(2023, Oner)

新型コロナウイルスがコバラミン代謝を阻害して、コバラミン欠乏症の症状を引き起こすという仮説が提唱されています。高齢者は萎縮性胃炎が多いためにビタミンB欠乏症が多く、加齢と伴に萎縮性胃炎の有病率が上がることが(2015, Wong)(1986, Krasinski)、新型コロナ感染症において高齢者が高い脆弱性を持っていることとの関連が指摘されています。高用量のメチルコバラミンがビタミン B12 欠乏症の症状の治療法になります。(2020, Santos)

ホモシステイン値が、高齢者(67歳から96歳)では年齢とともに高くなることが指摘されています。(1996, Selhub)

ビタミンB12は、睡眠覚醒リズム障害を改善することが報告されています。(1997, Hashimoto)そのメカニズムはまだ解明されていません。(1999, Nakamura)

ビタミンB12の投与によりメラトニン合成が増加することが報告されています。(2020, Santos)

2型糖尿病患者の22%でビタミンB12欠乏症が見られることが報告されています。(2009, Pfilpsen)

高齢者と糖尿病患者の間の共通点であるビタミンB12欠乏症が、新型コロナ感染症のリスクと密接に関連することが指摘されています。(2021, Wee)

新型コロナ感染症および新型コロナ後遺症に対して、ビタミンB12の有効性が総括されています。(2022, Batista)

重度の萎縮性胃炎に伴うビタミンB12欠乏症は、ビタミンB12の筋肉内投与で改善することが知られています。(2021, Woodford)

新型コロナ後遺症および ME/CFS に苦しむ大多数は、2 つの MTHFR 多型を持つものであると思われ、アメリカ人の 50% 以上に存在します。これらの多型は、ホモシステインを上昇させます。高ホモシステインが、脳室周囲器官(脳内の BBB を持たない領域)である自律神経および神経内分泌機能を指示する CNS 核に影響を与えてPOTSやブレインフォグが発症すると考えられます。(2023, Chambers)

シンガポールでの新型コロナ感染症の入院患者に対して、経口ビタミンD 3 1000 IU/日、経口マグネシウム150 mg/日、およびビタミンB 12 500mcg/日を投与した結果、重症度の有意な改善が見られました。(2020, Tan)

イランでの新型コロナ感染症の293人の入院患者で、回復した方と死亡転帰となった方の亜鉛、ビタミンD,ビタミンB12を比較したところ、死亡された方は低値を示しました。特に亜鉛が有意に低値でした。(2022, Shakeri)