ブレインフォグと定量脳波

まとめ:新型コロナ後遺症、ワクチン後遺症で見られるブレインフォグでは定量脳波で異常が見られます。ニューロフィードバック、LENS、スーパーライザーなどによる治療の可能性があります。

新型コロナ後遺症のブレインフォグでは、脳波検査で69%では活動の低下が見られ、31%では主に前頭部のてんかん性放電が特徴であることが報告されています。(2023, Furlanis)

中等度重度の新型コロナ感染症患者における脳波前頭間欠性リズミカルデルタ活動の高い有病率では、バックグラウンドの低下でしていました(16人の患者; 45.7%)。前頭部の所見には、10 人 (28.6%) の患者における前部優勢律動デルタ (FIRDA)と左前頭葉の局所的な遅延が含まれていました。異常な脳波を有する患者は、酸素補給を必要とする頻度が有意に高く (p = 0.003)、回復する可能性が低かった (p = 0.048)ことが報告されています。(2023, Bosak)

新型コロナウイルス感染症後のブレインフォグに苦しんでいる患者では、C3 (左半球) に比べて C4 (右半球) のシータ活動とアルファ活動が増加し、より集中的な感覚運動リズム (Sensory motor rhythum, SMR) が増加していることを観察しました。さらに、両半球における SMR に関連したベータ 2 の目に見える増加を記録しました。(2022, Kopańska)

新型コロナ後遺症の認知障害に対するEEGニューロフィードバックの有効性が報告されています。(2021, Łuckoś)

新型コロナ感染症関連のパニック発作への、EEGニューロフィードバックの有効性が報告されています。(2022, Kopańska)

■当院におけるワクチン後遺症患者の定量脳波

1.基礎律動のアルファ波が非常に高い

閉眼で後頭葉あたりから顕著に出現するアルファ波の周波数(Alpha peak frequency)は、健常者では8Hz前半であることが一般的ですが、ワクチン後遺症の方では10Hzを超えてくることがほとんどです。下図では10.99Hzです。

Wirth博士が指摘するところの交感神経系の過活動を示唆する脳波所見です。

2.基礎律動のアルファ波の周波数が不安定性

ワクチン後遺症でブレインフォグのある方は、アルファ波が不安定で、上図のように山のような鈍いピークになります。

集中力のある健常者(下図)では、アルファ波の周波数は一定であり、早くなったり遅くなったりすることはほとんどありません。定量脳波では一本の鋭いピークになります。(定量脳波(QEEG)と集中困難

3.脳波活動の活動性の低下

年齢と性別をマッチングさせた対照群と比較すると、前頭葉などで脳波の絶対量(absolutely power)が有意に低下しています。青い所が、健常対照群と比較して脳波の活動が低下している場所です。