めまいの中医治療

ワクチン後遺症や新型コロナ後遺症によってめまいが起こることが知られています。

眩暈（げんうん）とは、目眩（めまい）と頭暈（ずもう）の総称で、通常は両方が同時に出現します。病位は肝です。

眩暈（げんうん）	目眩（めまい）	眼の前が暗くなって、物がはっきり見えないこと
	頭暈（ずもう）	自分または外界の景色が旋回して、立っていられない感覚

後遺症で起こる眩暈は、肝陽上亢、痰濁内蘊（うん）、瘀血阻絡の３つです。

肝陽上亢	眩暈（特に目眩）、耳鳴、頭張痛、易怒、不眠多夢、顔舌紅、目赤、口苦	天麻釣藤飲
	＋肝火、上記症状が著しい（肝気鬱結から気が鬱して化火）	加竜胆草、牡丹皮、竜胆瀉肝湯加石決明・釣藤
	＋風陽上擾、中風変証の出現の予防、突然の半身不随、半身麻木（あさぎ、しびれ）、顔面麻痺など	羚羊角（れいようかく）、牡蛎、代赭石（たいせきしゃ）、羚羊角加減
	＋陰虚	牡蛎、亀板、鼈甲、何首烏、生地黄、淡菜
痰濁内蘊（うん）	眩暈、包まれたような頭重、胸悶、少食多眠、舌胖大、 膩苔（じたい）	半夏白朮天麻湯
	＋嘔吐	代赭石、旋覆花（せんぷくか、化痰）、胆南星、旋覆代赭石湯
	＋水湿、舌苔が厚膩	五苓散
	＋胸悶で少食、化湿醒胃の生薬	白蔲仁（びゃくくじん、行気、開胃）、縮砂仁（しゅくさじん、行気、開胃）
	＋脾虚	六君子湯　加　黄耆、竹筎、胆南星、白芥子
	＋耳鳴、通腸開竅の生薬	青葱（せいそう）、石菖蒲
	＋寒飲が内停、冷たい水が体内に貯まる	苓桂朮甘湯　加　乾姜、附子、白芥子（びゃくがいし）、黒錫丹（こくしゃたん）
	＋痰鬱、化火	温胆湯　加　黄連、黄芩、天竺黄、滾痰（こんたん）丸を合用
	＋怒鬱	当帰竜薈丸（りゅうかい）合　二陳湯　加　天麻、釣藤鈎、石決明
瘀血阻絡	眩暈、頭痛、健忘、不眠、心悸、精神不振、顔唇紫暗、舌に瘀点	血府逐瘀湯
	＋気虚、乏力、少気自汗	大量の黄耆
	＋畏寒肢冷	附子、桂枝
	＋骨蒸（こつじょう）労熱	牡丹皮、黄柏、知母
気血虧虚	精神疲労、うわごと、気短、顔面蒼白か萎黄かくすみ、心悸不眠、納少、倦怠感	八珍湯、十全大補湯、人参養栄湯
腎精不足	腰膝酸軟、耳鳴り、頭髪脱落	河車大造湯

天麻釣藤飲：天麻5、釣藤鈎12（後下）、山梔子6、黄芩6、牛膝7、杜仲7、益母草9、石決明18（先煎）、桑寄生9、夜交藤9、朱茯神9

竜胆瀉肝湯：竜胆草、生地黄、当帰、柴胡、沢瀉、車前子、木通、黄芩、山梔子、甘草

羚羊角湯：羚羊角、亀板、石決明、生地黄、牡丹皮、夏枯草、菊花、白菊（びゃくきく、菊花、辛涼解表）、柴胡、薄荷、蝉退（せんたい、辛涼解表）

半夏白朮天麻湯：半夏9、天麻3、茯苓3、陳皮3、白朮9、灸甘草1.5、生姜3、大棗3

旋覆代赭石湯：旋覆花、代赭石、人参、半夏、炙甘草、生姜、大棗

五苓散：白朮、茯苓、猪苓、沢瀉、桂枝

苓桂朮甘湯：茯苓、桂枝、白朮、炙甘草

六君子湯：人参、白朮、茯苓、炙甘草、陳皮、半夏、生姜、大棗

黒錫丹：沈香（じんこう、行気）、炮附子、胡蘆巴（ころは、助陽）、陽起石（養血）、炒茴香（ういきょう、散寒）、補骨脂（ほこつし、助陽）、肉豆蔲（にくずく）、木香、肉桂、黒錫、硫黄

温胆湯：半夏6、竹筎6、枳実6、陳皮9、茯苓4.5、甘草3、生姜3

滾痰丸：礞石（もうせき、清化熱痰）、大黄、黄芩、沈香

当帰竜薈丸：当帰、竜胆草、山梔子、黄連、黄柏、黄芩、大黄、蘆薈（ろかい、瀉下薬）、青黛、木香、麝香（じゃこう、開竅薬）

二陳湯：半夏、橘紅（きっこう、行気）、茯苓、灸甘草

血府逐瘀湯：当帰10、牛膝9、紅花（こうか）10、生地黄10、桃仁12、枳穀6、赤芍（せきしゃく）6、柴胡3、甘草3、桔梗5、川芎5

八珍湯：当帰、白芍、川芎、熟地黄、人参、茯苓、甘草、白朮、生姜、大棗

十全大補湯：人参、肉桂、川芎、地黄、茯苓、白朮、炙甘草、黄耆、当帰、白芍

人参養栄湯：人参、黄耆、当帰、白朮、茯苓、陳皮、肉桂、熟地黄、五味子、遠志、白芍、生姜、甘草、大棗

河車大造湯：紫河車、亀板、黄柏、杜仲、牛膝、天門冬、麦門冬、熟地黄、茯苓