心不全
心不全とは、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」です。
様々な原因で心臓のポンプ機能が低下している状態です。
■症状は、むくみ、呼吸困難、動悸、息切れ、咳
むくみは、全身の血流が滞ることで、重力との関係で下肢のむくみが出てきます。むくみによる体液量の増加で、体重が増加します。昼間は、血管から体液に水分の移行によって尿量が減ります。夜間は、身体の中心部に血流が戻って腎臓の血流が増えることで、深夜の尿量が増えます。
呼吸困難は、肺での血流の滞り(肺水腫)によって、血液への酸素の取り込みが低下して起こります。呼吸困難は、疲れやすさや身体のだるさとして現れる場合もあります。肺水腫によって、咳や痰が出ます。重力の関係で仰臥位で肺水腫が悪化するため、夜間に咳が出やすくなります。
重症化すると、夜間発作性呼吸困難、起座呼吸が起こってきます。横になると、肺の血流が増えて肺水腫が悪化するためです。
呼吸困難を呈する心不全と喘息の鑑別では、座位で改善するかどうかがポイントになります。
坂道や階段で動悸や息切れをしやすくなり、進行するとただ歩くだけで動悸や息切れを起こします。
身体に酸素をうまく運べなくなっている状態が心不全ですが、運動時は酸素要求量が増えるため、心拍数を上げて補うために動悸が出ます。
■重症度分類
心不全は一旦寛解することはありますが、完全に治ることは基本的にありません。欧米の報告によるとステージごとの予後は、5年後の生存率で、ステージA、B、C、Dでそれぞれ97%、96%、75%、20%と報告されています。心不全と診断されてから5年で約50%の死亡率と考えられています。
■西洋医学的治療
①水分貯留を減らすため利尿剤と適度な塩分制限、②レニンアンギオテンシン系を抑制するためACE阻害剤など、③交感神経系の賦活を抑制するためにβブロッカーやマイナートランキライザー。
■検査
血液検査(BNP)、胸部レントゲン、心電図、心エコーなど
BNPの値は、年齢依存性に増加することが報告されています。(2005, Hogenhuis)
BNPは心筋から分泌されるホルモンで、心筋に掛かっている負荷を反映します。心筋を保護するように働きます。