心不全

心不全とは、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」です。

様々な原因で心臓のポンプ機能が低下している状態です。

■症状は、①労作時呼吸困難、疲労感、②肺うっ血(起座呼吸、夜間発作性呼吸困難、夜間咳嗽)、③全身のうっ血(むくみ、夜間頻尿、体重増加)、④心拍出量低下(動悸、めまい)です。

呼吸困難は、肺うっ血によって、血液への酸素の取り込みが低下して起こります。呼吸困難は、疲れやすさや身体のだるさとして現れる場合もあります。肺水腫によって、咳や痰が出ます。重力の関係で仰臥位で肺の血流が増えて肺水腫が悪化するため、起座呼吸、就寝後に夜間発作性呼吸困難(1〜2時間後)、夜間咳嗽(明け方)が出ます。

むくみは、全身のうっ血で、重力との関係で下肢のむくみが出てきます。むくみによる体液量の増加で、体重増加が起こります。昼間は、血管から体液に水分の移行によって尿量が減ります。夜間は、身体の中心部に血流が戻って腎臓の血流が増えることで、夜間頻尿(1〜2時間後)となります。むくみは、圧痕性浮腫(pitting edema)です。

呼吸困難を呈する心不全と喘息の鑑別では、座位で改善するかどうかがポイントになります。

坂道や階段で動悸や息切れをしやすくなり、進行するとただ歩くだけで動悸や息切れを起こします。

身体に酸素をうまく運べなくなっている状態が心不全ですが、運動時は酸素要求量が増えるため、心拍数を上げて補うために動悸が出ます。

■重症度分類

心不全は一旦寛解することはありますが、完全に治ることは基本的にありません。欧米の報告によるとステージごとの予後は、5年後の生存率で、ステージA、B、C、Dでそれぞれ97%、96%、75%、20%と報告されています。心不全と診断されてから5年で約50%の死亡率と考えられています。

■西洋医学的治療

①水分貯留を減らすため利尿剤と(適度な塩分制限)、②レニンアンギオテンシン系を抑制するためACE阻害剤など、③交感神経系の賦活を抑制するためにβブロッカーやマイナートランキライザー。

■検査

血液検査(BNP、「心臓の叫び声」、「心臓がどれだけ苦しいか」)、胸部レントゲン、心電図、心エコーなど

BNPの値は、年齢依存性に増加し、女性が男性より高く、腎機能低下時には顕著に上がります。(2005, Hogenhuis)(2016, 石橋)

BNPは心筋から分泌されるホルモンで、心筋に掛かっている負荷を反映します。心筋を保護するように働きます。