尋常性疣贅(イボ)の中医治療

尋常性疣贅(vercca vulgaris)とは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因で皮膚もしくは粘膜に良性腫瘍が出来る疾患です。主に手足に出来ます。

中医学では、千日瘡と呼ばれます。

肝鬱血燥、毒邪阻絡結節が硬い、口渇、便秘紫藍方加減
気滞血瘀結節が大きい、多数、舌瘀班、瘀点桃紅四物湯加減
気血不和結節が柔らかい、疲れやすい、めまい、顔色白十全大補湯加減

紫藍方加減:紫根(清熱涼血、紫草)、板藍根、馬歯莧、薏苡仁丹参、紅花、赤芍、大青葉、木賊(もくぞく、清熱明目)、香附子、穿山甲(せんざんこう、活血化瘀)、竜骨、牡蠣

柴胡、牡丹皮、生地黄

桃紅四物湯加減:桃仁、紅花、赤芍、川芎、当帰、生地黄

陳皮、薏苡仁、牡蠣、代赭石(たいしゃせき、平肝熄風)、板藍根、馬歯莧(ばしけん、清熱解毒)

十全大補湯加減:熟地黄、赤芍、白芍、川芎、当帰、茯苓、人参

牛膝、何首鳥(養血)、白朮、杜仲、夏枯草、牡丹皮、板藍根

ウイルス性の尋常性疣贅には、上記のように薏苡仁が使われますが、老人性疣贅(脂漏性疣贅、脂漏性角化症)には、ウイルスの関与はなく薏苡仁の有効性は報告されていません。(2018, 林)

老人性血管腫とは、主に体幹や腕にできるポツッとした小さい赤から赤褐色の良性腫瘍です。ウイルスの関与はありません。痛みやかゆみ等はなく、何も症状は出ません。漢方の適応はありません。

軟性線維腫というのは、ポリープ状に皮膚が隆起している良性の皮膚腫瘍です。 30歳代以降にできてきます。 原因はウイルスの関与ではなく、摩擦や日光など皮膚の老化によります。 首、ワキ、そけい部(脚の付け根)、大腿の内側など比較的やわらかい部分にできることが多いものです。