痩せる糖尿病と太る糖尿病

まとめ:糖尿病および陰虚を治すためには、糖質制限以外に、香辛料・酒の制限、運動不足の解消(朝1時間、夕1時間の散歩など)、睡眠不足の解消(7時間以上の睡眠)、食物繊維の摂取、咀嚼すること、亜鉛の摂取することを勧めます。

肥満型の人は16時間断食の1日2食、痩せ型の人は逆に1日3食を勧めます。

中国医学では、糖尿病は消渇と呼ばれ、三多(多尿、多飲、多食)と消痩(やせること)が主症状です。もともと、昔は糖尿病とは食べても食べても痩せる病気のことでした。

一方、現代では1型糖尿病も2型糖尿病も肥満との関連が指摘されており(2014, Al-Goblan)、2型糖尿病のACCORD試験参加者10,251人のうち、911人(8.9%)が標準体重、2985人(29.1%)が太りすぎ、6355人(62%)が肥満で(2019, Yeboah)、現代では糖尿病は太る病気であるというのが一般的です。

痩せホルモンのグルカゴンと、肥満ホルモンのインスリンとの関係で考えると以下になります。(参照:グルカゴンルネッサンス食物繊維とグルカゴン

昔の糖尿病現代の糖尿病
グルカゴン過剰グルカゴン過剰+インスリン過剰

中国医学では糖尿病の根本原因は陰虚と明記されており、その原因としては、①暴飲暴食(酒、肥甘厚味物、美食)、②精神的・肉体的ストレス、③元々の体質・素因、④運動不足、⑤睡眠不足と考えられています。

現代の論文ベースでも、同じことが指摘されています。

24 時間尿中ナトリウム濃度が2型糖尿病患者の全死亡率および心血管疾患による死亡率と独立して関連しており、最も高い死亡リスクはナトリウム摂取量の少ない個人で観察され、その逆もまた同様であることを示しています。食事中の塩分摂取量を減らすようアドバイスすることは、2 型糖尿病に対する多くの生活習慣介入プログラムの重要な要素です。(2011, Ekinci)

砂糖入り飲料の摂取量の増加が、肥満、2型糖尿病、心血管リスクに関連することが指摘されています。(2010, Malik)

睡眠時間が、6時間以下または9時間以上になると糖尿病のリスクが上がります。(2005, Gottlieb)

身体活動および運動の低下が、糖尿病のリスクになり、それらが治療的に作用することが指摘されています。(2004, American Diabetes Association)

糖尿病患者では、亜鉛が不足しており、亜鉛の補給が治療的に作用することが指摘されています。(2012, Jayawardena)

グルカゴン分泌には、促進因子と抑制因子があります。(2017, Muler)

この中でポイントとなるのは、赤字の血糖値、GLP-1、亜鉛です。

最近はGLP-1受容体作動薬によって、糖尿病の劇的な治療効果やダイエットなどが話題になっており、インスリンではなくグルカゴンが糖尿病の本質であると指摘されています。(グルカゴンルネッサンス)

このGLP-1受容体作動薬と同じ効果が期待できるのが、食物繊維の摂取(1998, Massimino)と咀嚼すること(2015, Xu)です。