顎骨骨髄炎の中医治療
顎骨骨髄炎は、中医学では骨槽風と呼ばれます。歯槽骨の腐敗や骨壊死を特徴とする歯槽骨の病です。
邪熱織盛(風火) | 潰瘍面が難治、頬部発赤・腫脹 悪寒高熱、頭痛、口臭、便秘 | 舌紅苔黄または黄膩、脈弦数 | 清陽散火湯加僵蚕 | 荊芥、防風、白芷、牛蒡子、蒺藜子、升麻、黄芩、石膏、連翹、当帰、甘草 |
+熱が盛んな場合 | 黄連解毒湯合仙方活命飲加減 | |||
(仙方活命飲) | 穿山甲、天花粉、甘草、乳香、白芷、赤芍、貝母、防風、没薬、皂角刺(そうかくし、止咳)、当帰、陳皮、金銀花 | |||
風寒 | 色白、不熱不紅、陰疼痛、飲食困難 | 苔薄白或薄黄、舌質淡紅、脈遅緊 | 荊防敗毒散加減 | 羗活、独活、荊芥、防風、蔓荊子、桔梗、升麻、生姜、桂枝、赤芍、 |
気血虧虚 | 潰瘍面が難治、希薄な膿が流出 微熱、頭昏、目眩、精神疲労、納少 | 舌淡苔白、脈細弱 | 中和湯 | 人参、黄耆、白朮、当帰、白芍、大棗、甘草、川芎、白芷、桔梗、川芎、当帰、桂皮、生姜 |
+冷えが強い、陰痛(慢性の間欠的痛み) | 陽和湯 | 熟地、鹿角膠、麻黄、白芥子、桂皮、炮姜 | ||
八珍湯加減 | 黄芩、人参、赤芍、白芍、川芎、桔梗、半夏、炙甘草、蜣螂(きょうろう) |
■外治法
①吹薬法:歯髄の炎症には、氷硼散(ひょうほうさん)、または玉匙散を吹薬。
②敷薬法:頬部の炎症には清涼膏を外敷。
氷硼散の基本レシピ
材料(生薬)
- 硼砂(ほうしゃ)……20g(抗菌・消炎)
- 冰片(びょうへん)……10g(清涼・鎮痛)
- 玄明粉(げんめいふん)……10g(解毒・収れん)
- 黄連(おうれん)……10g(抗炎症・解熱)
- 黄柏(おうばく)……10g(抗菌・消炎)
作り方
- 生薬を粉末にする
- 黄連・黄柏を細かく粉末状にする(すり鉢やミルを使用)。
- 全ての粉末を混ぜる
- 硼砂・玄明粉・冰片を加え、均等になるまでよく混ぜる。
- 保存
- 乾燥したガラス瓶や密閉容器に入れ、湿気を避けて保存する。
- 冷暗所で半年〜1年程度保存可能。
玉匙散(元明粉30g、腰黄3g、天虫9g、炒月石30g、冰片3g)を粉末にする。