痛風治療薬のリスク
まとめ:痛風治療薬は心血管疾患リスク、発癌リスクなどがあります。(参照:高尿酸血症とビタミンC)
痛風治療薬であるフェブキソスタットおよびアロプリノールを 3 年以上使用した患者では、全死亡率のリスクが統計的に有意ではないものの増加する傾向があります。心不全増悪のリスクは、アロプリノールよりフェブキソスタットを服用した患者でわずかに低くなります。心筋梗塞または脳卒中による入院イベントの発生について、100人年あたりのIR(100人を1年間観察した場合のIncidence Rate(発生率))は、フェブキソスタットで3.43(95%CI、3.22〜3.66)、アロプリノール開始者で3.36(95%CI、3.25〜3.49)でした。(2018, Zhang)
5件の論文のメタアナライシスでは、フェブキソスタットとアロプリノールを比較すると、有害事象の発生率はフェブキスタットが低リスクでした。(2013, Faruque)
痛風患者6190人の約3年間の追跡調査にて、心血管系疾患リスク(心筋梗塞または脳卒中による入院イベントの発生)が、フェブキソスタット群の 335 人 (10.8%) およびアロプリノール群の 321 人 (10.4%) で発生しました。全死因死亡率および心血管死亡率は、フェブキソスタット群の方がアロプリノール群よりも高い結果が出ました。(2018, White)
フェブキソスタットとアロプリノールは、皮膚有害反応(スティーブンジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症など重篤な薬疹)の報告があります。発生率は、1000 人年あたり 15.37 対 3.48です。(2019, Wan Lin)
台湾での外来患者100万人を対象とした後ろ向きコホート研究で12年間追跡調査した結果、尿酸を下げるアロプリノールを90日以上服用した患者では、すべての癌のハザード比(リスク)は、1.21 (95% 信頼区間 = 1.03-1.42、P=0.019)、膀胱がんのハザード比は 2.26 (95% 信頼区間 = 1.32-3.87、P=0.003))でした。(2016, Chen)
アルプリノールは、前立腺がんのリスク低下に関係(2017, Shih)するという報告がありますが、最新のメタアナライシスでは無関係(2022, Lai)と結論されています。