高尿酸血症とビタミンC

霊長類の進化の過程で、ヒトは尿酸の分解能力を失うと共に、アスコルビン酸(ビタミンC)の合成能力を失いました。

これは代謝酵素で見ると、尿酸を無害なアライトンに分解する尿酸酸化酵素の活性を失い、グルコースからアスコルビン酸を合成する時の最終過程の酵素、L-グロノダクトンオキシダーゼの活性を失いました。

霊長類の進化は6500万年前に始まったと言われていますが、尿酸の分解能力を失ったのは6300万年前で、ビタミンCの合成能力を失ったのは、2800万年から2400万年前と言われています。

これは尿酸もビタミンCも水溶性の代表的な抗酸化物質であり、代用することが可能であるからです。進化は余分なものを出来るだけ排除して、出来るだけ代謝をさぼる方向で進化していきます。

ヒトの血清中の抗酸化作用の半分は、尿酸に由来しています。

尿酸はプリン体代謝のヒトにおける最終産物であり、以前はゴミのように考えられていましたが、抗酸化力と寿命、尿酸レベルと寿命との関係は相関関係があることなどからも、ヒトにとって非常に重要な生理活性物質です。

尿酸の生理作用に関しては、抗酸化作用以外にも摂食行動の促進、カフェイン様の神経刺激作用、血圧調節作用、免疫調節作用なども報告されています。

以上から高尿酸血症を安易に下げれば良い分けでは無く、強い抗酸化作用が必要な状態、つまり生体に酸化ストレスが過度に罹っている状態と理解することも出来ます。

酸化ストレスの原因は主に現代食ですが、対策としては特に糖質制限のロカボが基本になってきます。

ヒトの血中アスコルビン酸レベルは他の哺乳動物に比べて2~4倍低く、欠乏しやすい状態にあります。とくに喫煙者では注意を要します。

対症療法的ですが、高尿酸血症に対してビタミンCなどの抗酸化物質を摂取する方法もあります。

高尿酸血症に対するビタミンC投与の有効性が報告されています。