神経変性疾患の便秘と体重
まとめ:神経変性疾患では、共通して便秘とリスク要因としての肥満があります。また発症前後から体重減少が始まりますが、これはインスリン抵抗性との関連で起こってきます。中医学的には陰虚になります。
アルツハイマー病では、進行と共に自己防衛的にケトン体質に自然に変化して、体重が減少していきます。アルツハイマー病に対するケトン食療法は、初期段階にのみ有効ですが、対症療法的であり根治効果はありません。(アルツハイマー病と体重減少)
肥満は低度の炎症状態と関連しており、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患との関連が指摘されています。メカニズム的には、脂肪の拡張性が低下すると肥大脂肪細胞が誘導され、炎症、インスリン抵抗性およびレプチン抵抗性、血液脳関門の破壊、脳代謝の変化、神経細胞の炎症、脳萎縮、認知機能低下などが引き起こされます。肥満は、共通の根底メカニズムを通じて神経変性疾患に影響を及ぼし、これらの疾患の修正可能なリスク因子となる可能性を示唆しています。(2023, Neto)(2017, Mazon)
インスリン抵抗性に類似したプロセスが脳内で発生し、パーキンソン病の病理に寄与する可能性が指摘されています。(2016, Athauda)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に代表される運動ニューロン疾患(MND)患者における運動機能および自律神経機能障害に伴う合併症として、便秘の有病率が高いことが報告されています。(2024, Yamamoto)
ALS患者は耐糖能異常を示し、インスリン抵抗性の重要な決定因子であるFFA値の上昇と関連していることが報告されています。(2009, Pradat)
アルツハイマー病において、便秘あり群と便秘なし群に分けた研究において、便秘群においては、認知機能障害の2.7倍の速さで低下し、MRI-FLAIR画像における深部白質病変の拡大および、血清ホモシステイン値の上昇が有意であることが報告されています。(2022, Nakase)

