変形性膝関節症を漢方で改善|最新論文
まとめ:変形性膝関節症(膝骨関節炎、KOA)は中医学では「骨痹」「膝痹」「筋痹」などに属し、基本病機は肝腎虧虚・気血不足を本、風寒湿熱・痰湿・瘀血による経絡阻滞を標とする「本虚標実」である。そのため治療は補肝腎・強筋骨を基本に、祛風散寒、清熱利湿、活血化瘀、化痰通絡を辨証して組み合わせる。代表方は独活寄生湯(独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、茯苓、肉桂、防風、川芎、人参、甘草、当帰、白芍、地黄)で、肝腎虧虚を補いながら祛風除湿・活血通痹するため、高齢者や慢性化したKOAの基本方として多く報告されている。肝腎陰虚には左帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、牛膝、鹿角膠、亀板膠)、肝腎陽虚には右帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、杜仲、当帰、鹿角膠、肉桂、附子)、寒湿痹阻には**桂枝芍薬知母湯(桂枝、白芍、知母、麻黄、防風、白朮、附子、生姜、甘草)や独活寄生湯、湿熱痹阻には二妙散(黄柏、蒼朮)を基本とした処方、気滞血瘀には身痛逐瘀湯(秦艽、川芎、桃仁、紅花、甘草、羌活、没薬、当帰、五霊脂、香附、牛膝、地竜)**などが用いられる。生薬では特に牛膝が重要で、補肝腎・強筋骨と活血通経を兼ねるため、杜仲・牛膝、熟地黄・牛膝、当帰・牛膝、独活・牛膝、桑寄生・牛膝、川芎・牛膝などの薬対が頻用される。辨証別には、肝腎陰虚=熟地黄・牛膝、肝腎陽虚=杜仲・巴戟天、気血不足=黄耆・当帰、寒湿痹阻=羌活・独活、湿熱痹阻=黄柏・蒼朮、気滞血瘀=桃仁・紅花という対応が整理しやすい。さらに骨粗鬆症を合併する高齢者では、淫羊藿、骨砕補、続断、杜仲、補骨脂、鹿角霜、肉蓯蓉などの補腎強骨薬を加え、軟骨だけでなく骨代謝も同時に治療する考え方が重視されている。これらの中薬は単なる鎮痛ではなく、研究上は滑膜炎症の抑制、軟骨細胞死の抑制、軟骨基質分解の抑制、Ⅱ型コラーゲン産生・軟骨修復の促進、酸化ストレス軽減、骨代謝改善など複数の作用が報告されている。したがって中薬治療をまとめると、「肝腎を補って筋骨を強くする」ことを土台に、寒湿なら温経散寒・除湿、湿熱なら清熱利湿、瘀血なら活血化瘀、気血不足なら益気養血を加えるという辨証論治が中心であり、独活寄生湯と牛膝を中心とした処方・薬対が、今回取り上げられた最新論文群を通して特に一貫している。

膝骨関節炎性滑膜炎(KOAS)は中医学では「膝痹」「鶴膝風」「骨痹」などに相当し、肝腎虧虚を本として、風寒湿熱の侵襲、気血運行不暢、痰湿・瘀血などが関与すると考えられ、治療は益気活血、化湿通絡、清熱利湿、補益肝腎を基本とする。脾失健運・脾虚湿阻には益気蠲痹方(推定:黄耆、党参、白朮、茯苓、薏苡仁、威霊仙、秦艽、当帰、川芎、牛膝、甘草など)、加味四神煎(推定:黄耆、遠志、牛膝、石斛を基本に白朮、茯苓、薏苡仁などを加減)、寒湿痹阻には消腫方(推定:防已、黄耆、白朮、茯苓、薏苡仁、牛膝、沢瀉など)、風寒湿痹には加減桂枝芍薬知母湯(桂枝、芍薬、知母、麻黄、防風、白朮、附子、生姜、甘草を基本に加減)、気滞血瘀には腰膝祛痛方(推定:当帰、川芎、赤芍、桃仁、紅花、牛膝、延胡索、威霊仙、独活、桑寄生など)、湿熱痹阻には施氏熱痹方(推定:蒼朮、黄柏、薏苡仁、牛膝、防已、忍冬藤、赤芍、丹参など)が用いられ、疼痛、腫脹、関節水腫、関節機能の改善が報告されている。作用機序として通絡止痛方、当帰拈痛湯、膝三臓湯、壮骨健膝方、膝痹寧、四神煎、防已黄耆消腫方、加味独活寄生合剤などがTLR4/MyD88/NF-κB、PI3K/Akt、p38MAPK、NLRP3/Caspase-1、AMPK、HIF-1α/VEGFなどを調節し、IL-1β、IL-6、TNF-αを抑制するとともに、M1型マクロファージを抑えてM2型への極性化を促進し、滑膜炎症、低酸素、線維化、異常血管新生を改善する可能性が示されており、鍼灸・電気鍼・中薬外用や西洋薬との併用も有効性が報告されている。なお、上記で「推定」とした構成生薬は本総説に詳細な組成記載がないため、方名・一般的処方構成および治法から補記したものである。(2026年、張佳昕)
骨性膝関節炎(KOA)は中医学では「骨痹」「膝痹」「筋痹」に属し、肝腎虧虚を本、風寒湿熱・気滞血瘀などを標と捉え、扶正祛邪・標本兼治を基本として証候に応じた薬対を用いる。肝腎陰虚には熟地黄・牛膝を配伍し滋補肝腎・強筋壮骨・活血通絡を図り、NF-κB、PI3K/Aktなどを介して軟骨細胞の酸化ストレス・アポトーシス・細胞外基質分解を抑制する。肝腎陽虚には杜仲・巴戟天を用いて温補肝腎・強筋壮骨・祛風除湿を図り、NF-κB、PI3K/Akt、JAK2/STAT3などの調節や軟骨細胞増殖促進作用が報告されている。気血不足には黄耆・当帰を配伍し益気養血・通絡止痛を図り、とくに黄耆:当帰=5:1の配伍が検討され、PI3K/Akt、MAPKなどを介した炎症抑制、軟骨細胞アポトーシス抑制、Ⅱ型コラーゲン産生促進が示されている。寒湿痹阻には羌活・独活を用いて祛風散寒・除湿通痹止痛を図り、羌活の上行性と独活の下行性を組み合わせ、IL-17、AGE-RAGEなど複数経路を介して炎症・軟骨細胞障害を抑制する。湿熱痹阻には黄柏・蒼朮を1:1で配伍した二妙散(黄柏、蒼朮)が適し、清熱燥湿・通絡消腫を図るとともに、PINK1/Parkinを介したミトコンドリアオートファジー促進、NF-κB抑制、TNF-α・IL-1β・IL-6低下などが報告されている。気滞血瘀には桃仁・紅花を配伍して活血祛瘀・通絡止痛を図り、NF-κB、IL-17、AGE-RAGEなどを調節して炎症と軟骨基質分解を抑制し、桃紅四物湯(桃仁、紅花、当帰、川芎、白芍、熟地黄)としても臨床応用されている。以上の6薬対は、肝腎陰虚=熟地黄・牛膝、肝腎陽虚=杜仲・巴戟天、気血不足=黄耆・当帰、寒湿痹阻=羌活・独活、湿熱痹阻=黄柏・蒼朮、気滞血瘀=桃仁・紅花という辨証対応が明確であり、炎症抑制、軟骨細胞アポトーシス抑制、細胞外基質合成促進、酸化ストレス・ミトコンドリア機能障害改善を介してKOAの進行を抑制する可能性が示されている。(2026年、詹浩宸)
牛膝は膝骨関節炎(KOA)に頻用され、逐瘀通経・補肝腎・強筋骨の作用をもち、皂苷類、甾酮類、多糖類などがNF-κB、MAPK、PI3K/Akt、JAK2/STAT3などを調節し、IL-1β、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインを抑制するとともに、軟骨細胞アポトーシス抑制、Ⅱ型コラーゲン・アグリカン産生促進、MMP-9・MMP-13・ADAMTS-5抑制、滑膜炎軽減などを介して軟骨を保護するとされる。薬対では杜仲・牛膝が補肝腎・強筋骨を中心に炎症と軟骨細胞アポトーシスを抑制し、当帰・牛膝は活血養血・通絡を図りIL-17、TNF、Toll様受容体およびBmal1/Clock経路を調節し、独活・牛膝は祛風除湿・通痹止痛と補肝腎を組み合わせTNF、IL-17、MMP-9・MMP-13などを抑制するほか、桑寄生・牛膝、熟地黄・牛膝、川芎・牛膝などの配伍も用いられる。復方では独活寄生湯(桑寄生、牛膝、生地黄、杜仲、防風、秦艽、茯苓、白芍、独活、川芎、当帰、細辛、人参、甘草、肉桂)が肝腎虧虚証、身痛逐瘀湯(桃仁、紅花、当帰、牛膝、地竜、香附、乳香、没薬、秦艽、川芎、甘草、羌活、炒五霊脂)が気滞血瘀・痰瘀互結証、骨痹方(桑寄生、鶏血藤、骨砕補、牛膝、続断、千年健、油松節、土鼈虫)が肝腎虧虚・気滞血瘀証、補腎壮骨湯(熟地黄、山茱萸、肉蓯蓉、塩狗脊、牛膝、骨砕補、白芍、枸杞子、女貞子、当帰、鶏血藤、木香、甘草)が肝腎虧虚証、牛膝温経湯(牛膝、炮附子、肉桂、熟地黄、亀甲、当帰、川芎、桑枝、狗脊)が寒湿痹阻証、加味当帰四逆湯(当帰、独活、桂枝、牛膝、蒼朮、尋骨風、白芍、通草、大棗、附子、甘草、細辛)、補腎壮筋湯(熟地黄、当帰、牛膝、山茱萸、茯苓、続断、杜仲、白芍、青皮、五加皮)などが紹介されている。牛膝を軸に「補腎強骨+活血通絡+祛風除湿」を組み合わせることがKOA治療の特徴であり、現代薬理学的にも炎症抑制、軟骨保護、細胞外基質分解抑制、滑膜炎抑制という多面的作用が示されているが、現時点では基礎・動物研究が多く、長期安全性や臨床的有効性についてさらに検証が必要とされる。(2026年、馬婷婷)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「痹証」「膝痹」「骨痹」に属し、肝腎虧虚、気血不足を本とし、寒湿痹阻、気滞血瘀、痰濁瘀血などを標として捉える。中医伝統功法は非薬物療法として、八段錦、易筋経、南少林下肢功法、太極拳、五禽戯などが用いられ、八段錦は「両手攀足固腎腰」「調理脾胃須単挙」などの動作を通じて補益肝腎・調和気血を図り、緩徐な膝関節屈伸・回旋によって大腿四頭筋やハムストリングスを強化し、関節安定性と固有感覚を改善する。易筋経は剛柔相済・動静結合を特徴とし、「三盤落地式」「青龍探爪式」などによって膝周囲筋力と関節可動域を改善し、犢鼻・内膝眼などへの刺激による疏通経絡・行気止痛作用も期待される。南少林下肢功法は馬歩樁、弓歩衝拳、虚歩亮掌、仆歩穿掌などを用いて膝・股関節周囲筋の筋力と協調性を高め、太極拳は重心移動と下肢筋群の協調運動によって平衡機能・歩行安定性を改善し、五禽戯も下肢の安定性、柔軟性、姿勢制御の改善に用いられる。これらの功法は大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋群を強化して膝関節の力学的負荷を再分配し、固有感覚と神経筋制御を改善するとともに、IL-6、TNF-α、MMP-3などの炎症関連因子を低下させ、MMP-3/TIMP-1バランスを改善して軟骨基質分解を抑制する可能性が示されている。中医学的には「未病先防・既病防変・瘥後防復」という治未病の考え方に基づき、調和気血、補益肝腎、健脾、強筋骨を通じてKOAの予防から治療、再発予防まで継続的に介入する方法と位置づけられる。一方、既存研究には小規模研究、ランダム化・盲検化の不足、3~6か月程度の短期追跡が多いなどの問題があり、長期的な有効性については今後の大規模試験による検証が必要である。(2026年、許永輝)
老年膝骨関節炎(KOA)は中医学では「痹証」に属し、肝腎虧虚を本、風寒湿邪・痰瘀阻滞を標と捉え、滋補肝腎・蠲痹通絡を基本として辨証施治する。気血不足には壮骨蠲痹湯(推定:黄耆、党参、当帰、白芍、熟地黄、杜仲、牛膝、骨砕補、威霊仙、鶏血藤、甘草など)、寒湿痹阻には独活寄生湯(独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、茯苓、肉桂、防風、川芎、人参、甘草、当帰、芍薬、熟地黄)、湿熱流注には四妙勇安湯加減(玄参、金銀花、当帰、甘草を基本に蒼朮、黄柏、牛膝、薏苡仁などを加減)、肝腎虧虚が長期化して脾虚・津液運化失調から痰瘀互結し関節変形を呈する場合には陽和湯加減(熟地黄、鹿角膠、肉桂、麻黄、白芥子、炮姜、甘草を基本に加減)が用いられ、肝腎虧虚型ではまず補肝腎・調脾胃を行い、その後徐々に祛邪薬を増量する治療法も提唱されている。 Research Prog...steoarthritis_L… 外治では活血止痛酊(乳香、没薬など)、海桐皮湯(海桐皮、透骨草、防風など)、活絡止痛散(鶏血藤、何首烏など)、傷科止痛膏、中薬イオン導入などが疼痛・腫脹・関節機能改善に用いられる。作用機序では左帰丸・右帰丸がTLR4/MyD88/NF-κB経路を抑制し、強筋壮骨方がhs-CRP・IL-1β・NO、桑生除痹通絡方がIL-1・CRP・TNF-α、補腎活血湯がCRP・ESRを低下させるなど抗炎症作用が示され、補肝益腎強膝方(原論文では川芎、熟地黄、杜仲などを記載)はBGP・OPGを上昇させ骨代謝を改善する可能性が報告されている。さらに閉経後KOAには養血固腎湯(原論文記載:淫羊藿、巴戟天、菟絲子など)、補腎強筋膠囊(原論文記載:杜仲、補骨脂、熟地黄など)がエストロゲン代謝やCTX-Ⅱに作用する可能性が示され、逐瘀通絡湯(活絡効霊丹〔丹参、当帰、乳香、没薬〕を基本に、威霊仙、骨砕補などを加減)は抗炎症・軟骨保護・軟骨修復を、独活寄生湯の「独活―桑寄生」薬対はIL-6、TNF、TP53、MMP9、CASP3などへの多標的作用を示すとされる。中薬復方は抗炎症、骨代謝改善、軟骨保護、内分泌調節などを介して老年KOAに多面的に作用する可能性があるが、辨証論治に対応した基礎研究や標準化された品質管理・有効性評価はまだ不足している。(2026年、李炯皓)
老年膝骨関節炎(KOA)は中医学では「痹証」に属し、肝腎虧虚を本、風寒湿邪・痰瘀阻滞を標とし、滋補肝腎・蠲痹通絡を基本として治療する。気血不足には壮骨蠲痹湯(推定:黄耆、党参、当帰、熟地黄、白芍、杜仲、牛膝、骨砕補、威霊仙、鶏血藤、甘草など)、寒湿痹阻には独活寄生湯(独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、茯苓、肉桂、防風、川芎、人参、甘草、当帰、白芍、熟地黄)、湿熱流注には四妙勇安湯加減(金銀花、玄参、当帰、甘草を基本に、推定:蒼朮、黄柏、牛膝、薏苡仁などを加減)、肝腎虧虚が長期化し脾虚・津液運化失調から痰瘀が内阻して関節変形を来した場合には陽和湯加減(熟地黄、鹿角膠、肉桂、麻黄、白芥子、炮姜、甘草)が用いられ、肝腎虧虚型では最初から強く祛邪せず、補肝腎・調脾胃を先行して徐々に祛邪薬を増量する方法も提唱されている。 Research Prog...steoarthritis_L… 外治では活血止痛酊(原文記載:乳香、没薬など)、海桐皮湯(原文記載:透骨草、海桐皮、防風など)、活絡止痛散(原文記載:鶏血藤、何首烏など)、傷科止痛膏、中薬イオン導入が用いられ、疼痛・腫脹・膝関節機能の改善が報告されている。作用機序では左帰丸・右帰丸がTLR4/MyD88/NF-κB経路を抑制し、強筋壮骨方がhs-CRP・IL-1β・NO、桑生除痹通絡方がIL-1・CRP・TNF-α、補腎活血湯がCRP・ESRを低下させるなど抗炎症作用が示され、補肝益腎強膝方(原文記載:川芎、熟地黄、杜仲など)はBGP・OPGを上昇させ骨代謝を改善する可能性がある。また閉経後・周閉経期KOAでは養血固腎湯(原文記載:淫羊藿、巴戟天、菟絲子など)や補腎強筋膠囊(原文記載:杜仲、補骨脂、熟地黄など)がE2やCTX-Ⅱなどに作用するとされる。逐瘀通絡湯は活絡効霊丹(丹参、当帰、乳香、没薬)を基本に加減した経験方で、威霊仙・骨砕補による抗炎症・軟骨保護・軟骨修復作用が注目され、独活寄生湯の「独活―桑寄生」薬対はIL-6、TNF、TP53、MMP9、CASP3などへの多標的作用が示されている。総じて中薬復方は、抗炎症、補肝腎・強筋骨、骨代謝改善、軟骨保護、内分泌調節を介して老年KOAに多面的に作用する可能性がある。(2026年、李炯皓)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「骨痹」「膝痹」「痿証」などに属する筋骨共病であり、「肝主筋、腎主骨」「肝腎同源・精血同源」の観点から、肝腎精血虧虚による筋骨失養を核心病機とし、気血不足、風寒湿邪、瘀血阻滞などが加わって発症・進行すると考える。肝腎陰虚型では膝関節の隠痛・灼痛、屈伸不利、腰膝酸軟、頭暈、耳鳴、五心煩熱などを呈し、滋陰降火・濡養筋骨を目的に左帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、牛膝、鹿角膠、亀板膠)や芍薬甘草湯(白芍、甘草)を用い、左帰丸はMAPK、TNF、IL-17などの経路を調節する可能性が示されている。肝腎陽虚型では膝部冷痛、遇寒増悪・得温軽減、畏寒肢冷などを呈し、温補肝腎・散寒通絡・強筋壮骨を目的に右帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、杜仲、当帰、鹿角膠、肉桂、附子)や陽和湯(熟地黄、鹿角膠、肉桂、麻黄、白芥子、炮姜、甘草)を用い、右帰丸はPI3K/Akt/mTOR系を介した軟骨細胞アポトーシス抑制、陽和湯加減はIL-1、TNF-α、MMP-3、MMP-9低下による炎症・軟骨障害抑制が報告されている。肝腎瘀滞型では気滞血瘀・絡脈閉阻による固定性刺痛、夜間痛、舌質紫暗などを呈し、疏肝益腎・化瘀通痹を目的に身痛逐瘀湯(秦艽、川芎、桃仁、紅花、甘草、羌活、没薬、当帰、炒五霊脂、香附、牛膝、地竜)を用い、AMPK/SIRT1経路を介した軟骨細胞の酸化障害・アポトーシス抑制が示されている。 Theoretical_o...ney_homology”_C… また薬対として、骨砕補・続断は補腎強骨・骨組織修復、白芍・牛膝は柔肝舒筋・活血通絡に用いられ、肝腎同調の代表的配伍とされる。外治では塩杜仲・酒川芎の熥敷、散瘀祛痛膏、循経鍼灸、推拿、抜罐などを組み合わせ、さらに超音波ガイド下針刀によって拘縮・癒着した経筋を精確に松解し、「骨正筋柔」を回復させる方法も紹介されている。総じてKOAを単なる局所的な軟骨摩耗ではなく、肝腎陰虚・陽虚・瘀滞を基盤とする「筋骨共病」と捉え、補肝腎・強筋骨を基本に滋陰、温陽、活血化瘀を辨証的に組み合わせることが本論文の中心的治療思想である。(2025年、陳捷)
膝骨関節炎(KOA)と骨粗鬆症(OP)は中高年で併存しやすく、中医学ではKOAを「骨痹・膝痹・痹証」、OPを「骨痿・骨痹」と捉え、両者に共通する核心病機を腎虚による「髄減骨枯」とし、「腎主骨、生髄」「腎―髄―骨」理論に基づく補腎法を基本とする。 Research Prog...verning Bones_X… 腎陽虚には右帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、杜仲、当帰、鹿角膠、肉桂、附子)+聖愈湯(人参、黄耆、熟地黄、当帰、川芎、白芍)を基本に巴戟天、淫羊藿、補骨脂、肉蓯蓉などを加え温補腎陽・強筋壮骨を図り、腎陰虚には左帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、牛膝、鹿角膠、亀板膠)+聖愈湯を基本に女貞子、亀甲などを加えて滋補肝腎・益精生髄を図る。加減止痛健骨方(原文記載:当帰、熟地黄、白芍、牛膝、山茱萸など)は補益肝腎・強筋益髄により骨密度・膝機能を改善し関節液炎症因子を低下させ、補腎活血湯(原文記載:淫羊藿、鎖陽、続断、熟地黄、当帰など)は腎虚血瘀に対して補腎活血を図り疼痛・骨代謝指標を改善する。強骨飲(鹿角霜、忍冬藤、鶏血藤、秦艽、防風、蜂房、肉桂、川芎、黄耆、骨砕補、杜仲、続断)は腎虚血瘀型に用い、12週間投与で疼痛および血清指標の改善が報告され、強骨散(補骨脂、骨砕補、当帰、木瓜、川芎、三七、甘草)は腎陽虚衰・脾腎陽虚・肝腎陰虚・気滞血瘀などを背景とするKOA・OP共病に補腎活血通絡を目的として用いられる。壮骨通痹丸(陽起石、鹿角霜、海馬、紫河車、巴戟天、山薬、肉蓯蓉、枸杞子、五味子、補骨脂、杜仲、牛膝など)は補益肝腎・化瘀通絡・強壮筋骨を目的とし、ゾレドロン酸との併用でも有効性が報告されている。 Research Prog...verning Bones_X… 現代医学的には「腎主骨」を、エストロゲン・PTH・カルシトニン・1,25-(OH)₂D₃などによる骨代謝調節、BMSCの成骨分化、EPOを介した造血―骨形成連関などと関連づけており、補腎益精・生髄、活血化瘀、強筋壮骨を組み合わせることで、骨密度低下と軟骨変性を同時に治療する「異病同治」が本論文の中心的な考え方である。ただし臨床エビデンスはまだ初期段階で、大規模・高品質試験が必要とされる。(2025年、許妍妍)
骨粗鬆症(OP)と膝骨関節炎(KOA)はともに加齢に伴う退行性疾患で、中医学ではOPを主に「骨痿」、KOAを「骨痹・痹証・痿証」と捉え、KOAは肝腎不足を本として風寒湿邪、経脈瘀阻、気血不通が加わる「本虚標実・本痿標痹」、OPは腎精虧虚、脾胃虚弱、肝鬱血虚、気滞血瘀などを病機とするが、両者とも「腎虚」を共通の根本病機とするため、「異病同治」が可能と考える。 Research_prog..._same_method”_L… 現代医学的にも両疾患には加齢、肥満、女性、骨代謝異常、筋力低下などの共通危険因子があり、炎症・酸化ストレス、エストロゲン低下、骨代謝異常、軟骨下骨リモデリング、筋力低下などの病態が重複する。KOAでは機械的負荷がHippo-YAP/TAZからNF-κBを活性化してIL-1βやADAMTS4などを誘導し、加齢に伴うAGE/RAGE異常やMMP-13増加が軟骨変性を促進する一方、OPでは炎症によるRANKL/OPGバランス異常が破骨細胞活性を高めるため、炎症と骨代謝異常が両疾患を結びつける重要な機序とされる。 Research_prog..._same_method”_L… とくに軟骨下骨は両疾患をつなぐ重要な部位で、OPによる骨密度低下・骨微細構造破壊は軟骨下骨の支持・緩衝能力を低下させてKOAを悪化させ、逆にKOAによる疼痛・活動制限は骨への機械刺激を減少させOPを進行させる。また加齢による大腿四頭筋・腓腹筋などの筋力低下は歩行・下肢力線・膝関節の力学環境を悪化させると同時に、骨への刺激を減少させてOPも促進するため、両疾患は相互に増悪し得る。治療では運動療法、とくに適切な抗抵抗運動が筋力・骨密度・下肢力線を同時に改善する共通治療として重視され、OP治療薬のテリパラチドには軟骨保護・軟骨細胞増殖・細胞外基質合成促進作用、ビスホスホネートには軟骨下骨硬化を軽減する可能性が示されている。なお本論文は「異病同治」の理論と共通病態を中心とした総説であり、具体的な中薬方剤・構成生薬についての記載はない。(2025年、劉志寰)
閉経後骨粗鬆症(PMOP)と膝骨関節炎(KOA)の併存は、中医学ではそれぞれ「骨痿」と「骨痹」に属し、「髄系骨病」理論から両者の根本病機を「腎虚髄虧」、核心を「腎―髄―骨―節」軸の失調、特徴を「痿痹共存・虚実交錯」と捉え、補腎調髄を基本治法とする。 Advances in r...Chinese drugs_P… 閉経後の腎精虧虚・髄海不足によって骨が失養して「痿」を生じる一方、関節も濡養を失い、風寒湿邪や痰瘀が関節を痹阻して「痹」を形成し、骨代謝異常と関節退変が相互に悪化する。現代医学的にはエストロゲン低下を起点としてOPG/RANKL失衡による破骨細胞活性化、軟骨下骨の微細構造破壊、Piezo1を介する軟骨細胞障害、NF-κB・NLRP3による炎症・焦亡、ROS増加、腸管透過性亢進とSCFA減少・LPS/TLR4活性化などが連鎖し、骨と関節軟骨を同時に障害すると整理されている。 Advances in r...Chinese drugs_P… 補腎調髄薬では、続断(川続断皂苷Ⅵ)がWnt/β-catenin・Runx2を活性化して成骨を促進するとともにⅡ型コラーゲンを増加しMMP-13を抑制し、菟絲子(フラボノイド)はβ-catenin、腸管Ca吸収、抗炎症・抗酸化作用を介して骨質と関節を保護する。淫羊藿(淫羊藿苷)・女貞子(槲皮素、斉墩果酸)はOPG/RANKLを調節して破骨細胞を抑制し、骨形成と軟骨基質維持を促進し、骨砕補(ナリンギン)・牛膝(β-エクジステロン)はエストロゲン様作用によりERαを活性化し、RANKL抑制・OPG増加を介して骨吸収を抑える。 Advances in r...Chinese drugs_P… また骨砕補総フラボノイドはVEGF・HIF-1αを介して骨・軟骨の微小循環を改善し、鹿茸(鹿茸ポリペプチド)はBMP/Smad/Runx2活性化とTLR4抑制により破骨細胞を抑えながら軟骨細胞増殖を促進する。黄耆(黄耆多糖)はTLR4/MyD88/NF-κBを抑制してM1型マクロファージへの極性化とIL-1β・TNF-α産生を低下させ、続断はOPG/RANKL比を高めCOX-2・PGE2を抑制し、牛膝はNLRP3炎症小体を抑えてIL-18を介する軟骨細胞焦亡を軽減する。さらに続断、黄耆、淫羊藿などはTLR4/NF-κBを抑えながらNrf2系を活性化し、HO-1、Runx2、ALP、OPGを増加させて酸化ストレスによる骨・軟骨障害を抑制する。すなわち補腎調髄法は「骨形成促進+骨吸収抑制+軟骨保護+微小循環改善+抗炎症+抗酸化」を同時に作用させ、PMOPとKOAを一体的に治療する考え方である。なお本総説は特定の復方を中心とした論文ではなく、主要な補腎調髄生薬として続断、菟絲子、淫羊藿、女貞子、骨砕補、牛膝、鹿茸、黄耆などを取り上げており、これらを組み合わせた具体的な方剤構成・用量は原文には示されていない。(2025年、潘毅博)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「骨痹」などに属し、肝腎虧損、気血不足、筋脈失養を本とし、風寒湿邪、湿熱、瘀血などを標として捉え、中薬復方は補肝益腎を中心に、養血柔筋、益気養血、活血化瘀、清熱利湿、散寒祛湿を辨証に応じて組み合わせる。 Research Prog...steoarthritis_F… 補腎強骨では独活寄生湯(原文記載:独活、桑寄生、杜仲、牛膝、肉桂等;補記:防風、秦艽、茯苓、白芍、川芎、当帰、細辛、人参、甘草、生地黄)がTLR4/MyD88/NF-κB、p38 MAPKなどを抑制し、ADAMTS-4・ADAMTS-5・MMP-13を低下させて軟骨基質を保護し、右帰丸(原文記載:熟地黄、附子、肉桂、山薬、山茱萸等;補記:枸杞子、杜仲、菟絲子、鹿角膠、当帰)がPI3K/Akt/mTORおよびTLR4/MyD88/NF-κBを調節して自噬を促進し炎症・アポトーシスを抑制する。健骨方(補骨脂、骨砕補、山茱萸、当帰、黄耆等)、新止骨増生丸(熟地黄、骨砕補、鶏血藤、海桐皮、肉蓯蓉等)、補腎除湿方(熟地黄、山茱萸、茯苓、炒白朮、沢瀉等)、強骨飲(熟地黄、杜仲、桑寄生、当帰、党参等)、強骨通痹膠嚢(骨砕補、牛膝、独活、続断、川芎等)も、Wnt/β-catenin、JAK/STAT、Nrf2などを介して抗炎症・抗酸化・軟骨保護作用を示す。 Research Prog...steoarthritis_F… Research Prog...steoarthritis_F… 養肝柔筋では栄筋拈痛方(牛膝、当帰、独活、羌活、防風等)、補肝健膝方(酸棗仁、牛膝、白芍、桂枝、生地黄等)、補肝栄筋湯(炒白芍、熟地黄、麦門冬、炒酸棗仁、巴戟天等)、補肝益腎通絡方(茯苓、五爪龍、白芍、牛膝、鶏血藤等)、補肝益腎健骨湯(桑寄生、牛膝、杜仲、赤芍、熟地黄等)がWnt/β-catenin、SDF-1/CXCR4-p38 MAPK、MMP-3・MMP-13などを調節し、軟骨細胞増殖・基質維持を促す。Research Prog...steoarthritis_F… 益気養血では黄耆桂枝五物湯(黄耆、白芍、大棗、桂枝、生姜)がNLRP3/Caspase-1などを抑制し、益気養血方(黄耆、党参、陳皮、白芍、川芎等)、益気活血通絡湯(黄耆、当帰、党参、赤芍、紅花等)、益気化瘀補腎方(黄耆、党参、川芎、当帰、淫羊藿等)、益気補腎活血方(黄耆、白朮、白芍、骨砕補、巴戟天等)、養血柔筋方(党参、白朮、薏苡仁、牛膝、当帰等)がBcl-2/Bax、JAK2/STAT3、JNK、p38 MAPKなどを介して炎症と軟骨細胞アポトーシスを抑制する。 Research Prog...steoarthritis_F… Research Prog...steoarthritis_F… 活血化瘀では桃紅四物湯(原文記載:桃仁、川芎、当帰、紅花、赤芍等;補記:熟地黄)がVEGFを抑制して滑膜血管新生を軽減し、身痛逐瘀湯、補陽還五湯、活血止痛膠嚢、補腎活血方、龍鼈膠嚢などがAMPK/SIRT1、PI3K/Akt/NF-κBなどを介して炎症、軟骨基質分解、アポトーシスを抑制する。 Research Prog...steoarthritis_F… 湿熱痹阻には当帰拈痛湯(原文記載:茵陳蒿、羌活、炙甘草、猪苓、知母等;補記:当帰、蒼朮、白朮、防風、沢瀉、黄芩、苦参、升麻、葛根、人参)が腸内細菌叢とPERK関連経路を調節し、四妙丸(黄柏、蒼朮、牛膝、薏苡仁)がCaspase-3を抑えBeclin-1・LC3を増加させて軟骨細胞自噬を促進し、三仁湯(原文記載:薏苡仁、竹葉、滑石、半夏、厚朴等;補記:杏仁、白蔻仁、通草)がNLRP3とIL-1β・IL-6を抑制する。 Research Prog...steoarthritis_F… 寒湿痹阻には追風透骨膠嚢、温経通絡湯、蒼膝通痹膠嚢、祛風骨痛巴布膏、骨痹散、脊蛇祛湿膠嚢、蠲痹湯などが用いられ、TLR4/MyD88/NF-κB、PI3K/Akt、p38 MAPK、TGF-β/Smad、Wnt/β-cateninなどを介して炎症・軟骨細胞死を抑制しⅡ型コラーゲン産生を促進する。以上、中薬復方は単一経路ではなくJAK2/STAT3、PI3K/Akt、TLR4/MyD88/NF-κB、Wnt/β-catenin、p38 MAPK、TGF-β/Smad、VEGFなどを同時に調節する「多成分・多標的・多経路」が特徴であり、炎症抑制、軟骨細胞自噬促進、アポトーシス抑制、ECM分解抑制、異常血管新生抑制を通じてKOAの進行を抑える可能性が示されているが、研究の多くは細胞・動物実験であり、臨床標準化と質の高い臨床研究が今後の課題とされる。(2026年、傅永升)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「痹病」「骨痹」に属し、外因として風・寒・湿・熱の侵襲、慢性労損、外傷、寒冷湿潤環境など、内因として肝腎虧虚、脾胃虚弱、気血不足、痰湿・瘀血などが関与し、「不通則痛」と筋骨失養が併存するため、祛風・散寒・除湿による祛邪と補益肝腎・調養気血による扶正を組み合わせて治療する。 Research Prog...steoarthritis_W… 作用機序では抗炎症、鎮痛、軟骨保護、微小循環改善、免疫調節が中心で、丹参の丹参酮ⅡAはTLR4/MyD88/NF-κBを抑制し、細辛はIL-1β・TNF-αを低下させ、龍胆の龍胆苦苷はHMGB1-PI3K/Aktを抑制して滑膜炎症・線維化を軽減し、黄耆甲苷はCOX-2、PGE2、NOなどの炎症介質を抑制する。復方では益腎逐瘀通絡湯(構成生薬は本総説に記載なし)が軟骨細胞の焦亡・鉄死亡を抑制し、腎着湯(補記:甘草、乾姜、茯苓、白朮)がPI3K/Aktを抑制してIL-6・IL-1β・TNF-αを低下させ、壮骨健膝方(構成生薬は本総説に記載なし)がLXRα/N-CoRを介してNF-κBを抑制し、IL-1β、TNF-α、MMP-3、MMP-13を低下させる。 Research Prog...steoarthritis_W… 軟骨保護では鹿茸がADAMTS-4を抑制しTIMP-3を増加させてプロテオグリカン・Ⅱ型コラーゲン分解を防ぎ、六味骨痹湯(構成生薬は本総説に記載なし)はIL-1β、TNF-α、MMP-13を低下させて滑膜炎を軽減し軟骨修復を促進する。黄耆多糖はJAK2/STAT3を介して軟骨細胞増殖とⅡ型コラーゲン・プロテオグリカン合成を促進し、淫羊藿苷はmiR-29c/COL2A1軸を調節して軟骨細胞アポトーシスを抑制する。右帰飲(補記:熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、杜仲、肉桂、附子、炙甘草)はFas/FasLを抑制し、独活寄生湯(補記:独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、茯苓、防風、川芎、人参、甘草、当帰、白芍、熟地黄、肉桂)はMMP-3・MMP-9・MMP-13、ADAMTS-4・ADAMTS-5を抑制して軟骨基質恒常性を維持し、補腎活血方(構成生薬は本総説に記載なし)はNF-κBを抑制してCOLⅡ・ACANを増加、ADAMTS-5を低下させる。 Research Prog...steoarthritis_W… 鎮痛面では丹参によるドパミン・5-HT調節、烏頭のアコニチン類によるNaチャネル調節、温経活血外治法によるNGF/TrkA、TRPV1などの抑制が示され、微小循環では丹参による血管拡張・血液粘稠度低下、川芎の川芎嗪によるp38 MAPK・NF-κB抑制と血小板凝集抑制が報告され、五痹湯合桃紅四物湯加減(五痹湯の構成は本総説に記載なし;桃紅四物湯は補記:桃仁、紅花、当帰、川芎、白芍、熟地黄)と温鍼灸の併用でも血液レオロジー改善が示されている。 Research Prog...steoarthritis_W… Research Prog...steoarthritis_W… さらに黄耆はT細胞サブセットを調節し、独活寄生湯はT細胞・マクロファージ活性化およびNLRP3炎症小体を抑制するなど免疫調節にも作用する。すなわち中医薬は「抗炎症+鎮痛+軟骨基質保護+微小循環改善+免疫調節」という多標的作用によってKOAを治療する可能性が示されているが、現状では小規模研究や実験条件の不統一、詳細な分子標的の検証不足があり、より大規模で標準化された研究が必要とされる。(2025年、王安寧)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「骨痹」「痹証」に属し、基本病機は「本虚標実」で、肝腎虧虚を根本とし、脾胃虚弱・気血不足による筋骨失養に、痰湿・瘀血・外感風寒湿邪が加わって経絡を痹阻すると捉える。施杞は「肝腎虧虚+痰瘀互結」、劉徳玉は「肝腎虧虚+瘀血痹阻」、呉漢卿は加齢による肝腎虧虚を背景とした経筋損傷・「筋結、横絡」と膝関節力学的不均衡、熊継柏は脾胃から生じる気血不足・筋骨失養を重視しており、治法は補益肝腎・祛風除湿・活血通絡・強筋壮骨を中心とする。 Research Prog...steoarthritis_T… 内治では補腎祛寒治尪湯が桂枝芍薬知母湯と虎骨散の加減方で、構成生薬の全容は本総説には記載されていないが、補記すると桂枝芍薬知母湯(桂枝、白芍、知母、麻黄、防風、白朮、附子、生姜、甘草)を基礎とする処方で、TLR4/MyD88/NF-κBを抑制しIL-1β、IL-6、TNF-αを低下させて軟骨退変を軽減する。益腎蠲痹丸(構成生薬は本総説に記載なし)はNLRP3/NF-κB/Caspase-1を調節して軟骨細胞焦亡・炎症浸潤・アポトーシスを抑制し、黄耆桂枝五物湯(黄耆、桂枝、白芍、生姜、大棗)はPI3K/Akt、Nrf2/HO-1を促進するとともにTLR4/MyD88/NF-κBを抑制し、機械的アロディニア・熱痛覚過敏や神経細胞障害を改善する。脊蛇祛湿膠嚢(構成生薬は本総説に記載なし)はWnt/β-cateninを抑制して軟骨破壊・軟骨下骨リモデリング・骨増殖を抑える可能性が示されている。 Research Prog...steoarthritis_T… 外治では「筋」から「骨」を治す考え方が重視され、鍼灸は足三陰・足三陽経の圧痛点や索状結節、内外側側副靱帯・膝蓋靱帯・鵞足腱などを対象として軟部組織を調整し、TNF-α・IL-6などの炎症因子低下、局所循環改善、中枢性鎮痛を図る。推拿は舒筋通絡・活血化瘀・松解粘連を目的として大腿四頭筋を中心に筋力・膝関節安定性を改善し、腰・股・膝・足関節・足底までを一体として調整する「平脊療法」では下肢力線の改善も報告されている。中薬熏洗では紅桂洗剤などが用いられ、局所循環を促進してIL-1β、TNF-α、CRPを低下させ、疼痛・腫脹を改善する。 Research Prog...steoarthritis_T… 小針刀は「筋傷」「筋結」を閉鎖的に松解して筋痙攣・神経血管圧迫を軽減し、膝関節の力学的平衡を回復させる治療で、TLR4/NF-κB抑制とIL-1β・TNF-α低下が示され、超音波ガイド下針刀では精度・安全性の向上も図られている。総じて本論文は、KOAを単なる軟骨変性ではなく「肝腎虧虚を本、痰湿・瘀血・筋結を標」とする筋骨・経絡・力学系の複合病態として捉え、内治による補益肝腎・祛風除湿・強筋壮骨と、鍼灸・推拿・中薬熏洗・小針刀による局所の通絡・松解・力学的平衡回復を組み合わせる「内外合治」を重視している。(2025年、唐漢銘)
独活寄生湯は唐代・孫思邈『備急千金要方』に由来し、肝腎虧虚・気血不足を本とし、風寒湿邪による筋脈痹阻を標とする膝骨関節炎(KOA)、特に肝腎虧虚型に用いる代表方で、祛風湿・止痹痛・補肝腎・益気血を同時に行う。原方は独活3両、桑寄生、秦艽、茯苓、杜仲、牛膝、細辛、乾地黄、人参、甘草、桂心、防風、川芎、当帰、芍薬各2両で、独活を君薬として下焦・筋骨の風寒湿を除き、細辛・防風・秦艽・桂心が祛風散寒除湿、桑寄生・杜仲・牛膝が補肝腎・強筋骨、川芎・地黄・当帰・白芍が養血和血、人参・茯苓・甘草が健脾益気を担う。 Modern_Applic...steoarthritis_Z… 現代薬理では独活寄生湯はPI3K/Akt/mTORを抑制し、NLRP3/Caspase-1/GSDMDを介する軟骨細胞焦亡を抑えるほか、炎症、酸化ストレス、アポトーシス、鉄死、MMP-13など複数の標的を介して軟骨を保護するとされ、独活のIL-1抑制・TGF-β促進、地黄多糖のNF-κB抑制、当帰のIL-10促進、白芍総苷のPGE2抑制など各生薬の作用も報告されている。Modern_Applic...steoarthritis_Z… 臨床では原方を固定的に用いるのではなく、例えば独活15 g、桑寄生・当帰・茯苓・牛膝・川芎・党参・秦艽・杜仲・生地黄・防風・白芍各10 g、甘草6 g、肉桂5 g、細辛3 gなどを基本とし、寒盛には附子・乾姜、疼痛が強ければ制川烏・制草烏、湿盛には地黄を減じて防已・薏苡仁・蒼朮を加えるなど、寒・湿・瘀・虚の程度に応じた加減が行われている。 Modern_Applic...steoarthritis_Z… また単独内服だけでなく、ロキソプロフェン、セレコキシブ、エトリコキシブ、グルコサミン等との併用、電気鍼・温鍼灸・雷火灸・針刀・経筋灸・中薬熏洗との併用、ヒアルロン酸・キトサン・PRP等の関節腔内注射、関節鏡手術・高位脛骨骨切り術・人工膝関節置換術などとの併用も検討され、疼痛・WOMAC、関節機能、TNF-α・IL-1・IL-6・MMP-1などの炎症指標、骨代謝や軟骨代謝の改善が報告されている。Modern_Applic...steoarthritis_Z… 総じて独活寄生湯は「肝腎虧虚を補いながら風寒湿を除き、気血を充実させて筋骨を養う」というKOA治療に適した構造を持ち、肝腎虧虚を本とする慢性・退行性KOAに辨証加減し、外治・西洋薬・関節注射・手術と組み合わせることが現代的応用の中心である。一方、既存研究は症例数が少なく証型分類が不十分で、各生薬間の作用機序や用量―効果関係も未確立であり、今後は処方量の標準化と高品質な臨床研究が必要とされる。(2025年、周鈴)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「骨痹」「膝痹」に属し、肝腎虧虚・気血不足を本として、風寒湿邪、労損・外傷による気血運行不暢、さらに病久による痰瘀互結が加わり、「本虚標実、虚実夾雑、痰瘀互結、経絡不通、筋骨失養」を形成すると捉えるため、補益肝腎・益気養血、活血化瘀、祛風散寒除湿が治療の中心となる。単味薬では牛膝、当帰、丹参、川芎などの活血化瘀薬、地黄、杜仲、淫羊藿、補骨脂などの補益肝腎薬、独活、威霊仙、秦艽などの祛風寒湿薬が重視され、炎症抑制、軟骨細胞アポトーシス抑制、Ⅱ型コラーゲン・プロテオグリカンなど細胞外基質(ECM)の維持、軟骨細胞増殖・修復を介して軟骨変性を抑える。復方では、肝腎虧虚・風寒湿痹に独活寄生湯(補記:独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、防風、肉桂、当帰、川芎、地黄、白芍、人参、茯苓、甘草)、腎陽虚による腰膝冷痛・関節僵硬に右帰丸(補記:熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、杜仲、菟絲子、鹿角膠、当帰、肉桂、附子)、寒湿痹阻に烏頭湯(補記:麻黄、白芍、黄耆、甘草、川烏、蜂蜜)、瘀血痹阻に身痛逐瘀湯(補記:桃仁、紅花、当帰、川芎、牛膝、地竜、秦艽、羌活、香附、五霊脂、没薬、甘草)が用いられる。独活寄生湯は軟骨細胞の鉄死を抑制し自噬を促進、烏頭湯は抗炎症・抗酸化作用と軟骨基質分解抑制、身痛逐瘀湯は酸化障害軽減と軟骨再生促進作用が報告されている。名医経験方として腎虚血瘀に補腎痹通方、骨痹通方、寒湿痹阻に温経通絡湯、肝腎虧虚に重骨顆粒などが用いられ、炎症、軟骨細胞アポトーシス、過剰な自噬、軟骨基質分解、軟骨下血管新生を抑制し、骨代謝・関節機能を改善するとされるが、本総説にはこれら経験方の構成生薬の詳細は記載されていない。作用機序としては炎症性サイトカインの抑制、軟骨細胞の自噬・アポトーシス・老化の調節、軟骨基質分解酵素の抑制、マクロファージの炎症性・抗炎症性形質の調節などを介して軟骨恒常性を維持する多標的作用が示されている。総じて本論文は、KOAでは疼痛軽減だけでなく、早期からの「軟骨保護・軟骨損傷の修復」を中医薬治療の重要目標と位置づけている。(2025年、劉晗笑)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「骨痹」「膝痹」に属し、肝腎虧虚・気血不足を本として、風寒湿邪、労損・外傷による気血運行不暢、さらに病久による痰瘀互結が加わり、「本虚標実、虚実夾雑、痰瘀互結、経絡不通、筋骨失養」を形成すると捉えるため、補益肝腎・益気養血、活血化瘀、祛風散寒除湿が治療の中心となる。単味薬では牛膝、当帰、丹参、川芎などの活血化瘀薬、地黄、杜仲、淫羊藿、補骨脂などの補益肝腎薬、独活、威霊仙、秦艽などの祛風寒湿薬が重視され、炎症抑制、軟骨細胞アポトーシス抑制、Ⅱ型コラーゲン・プロテオグリカンなど細胞外基質(ECM)の維持、軟骨細胞増殖・修復を介して軟骨変性を抑える。復方では、肝腎虧虚・風寒湿痹に独活寄生湯(補記:独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、防風、肉桂、当帰、川芎、地黄、白芍、人参、茯苓、甘草)、腎陽虚による腰膝冷痛・関節僵硬に右帰丸(補記:熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、杜仲、菟絲子、鹿角膠、当帰、肉桂、附子)、寒湿痹阻に烏頭湯(補記:麻黄、白芍、黄耆、甘草、川烏、蜂蜜)、瘀血痹阻に身痛逐瘀湯(補記:桃仁、紅花、当帰、川芎、牛膝、地竜、秦艽、羌活、香附、五霊脂、没薬、甘草)が用いられる。独活寄生湯は軟骨細胞の鉄死を抑制し自噬を促進、烏頭湯は抗炎症・抗酸化作用と軟骨基質分解抑制、身痛逐瘀湯は酸化障害軽減と軟骨再生促進作用が報告されている。名医経験方として腎虚血瘀に補腎痹通方、骨痹通方、寒湿痹阻に温経通絡湯、肝腎虧虚に重骨顆粒などが用いられ、炎症、軟骨細胞アポトーシス、過剰な自噬、軟骨基質分解、軟骨下血管新生を抑制し、骨代謝・関節機能を改善するとされるが、本総説にはこれら経験方の構成生薬の詳細は記載されていない。作用機序としては炎症性サイトカインの抑制、軟骨細胞の自噬・アポトーシス・老化の調節、軟骨基質分解酵素の抑制、マクロファージの炎症性・抗炎症性形質の調節などを介して軟骨恒常性を維持する多標的作用が示されている。総じて本論文は、KOAでは疼痛軽減だけでなく、早期からの「軟骨保護・軟骨損傷の修復」を中医薬治療の重要目標と位置づけている。(2025年、劉晗笑)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「痹証」「骨痹」に属し、中高年では肝腎虧虚によって筋骨が失養し、そこへ風寒湿邪が侵入して筋肉・骨節に停滞し、さらに気血運行不暢から気滞血瘀を生じ、「不栄則痛」「不通則痛」に至ると考える。中医保守治療は針刺、灸、推拿、穴位注射、中薬内服・外用、中西医結合を中心とし、針刺では血海、梁丘、犢鼻、内膝眼、鶴頂、陽陵泉、陰陵泉などの局所穴に、髄会の懸鐘、骨会の大杼などを組み合わせ、局所循環、筋力、関節安定性を改善して疼痛を軽減する。電針、刺絡運動針法、改良青龍擺尾針法、龍虎交戦針法、赤鳳迎源針法、焼山火針法のほか、内熱針、刃針、浮針、火針、揿針、針刀なども用いられ、特に寒湿痹阻型では温熱刺激を伴う治療が重視される。灸では雷火灸、熱敏灸、温針灸が用いられ、気血瘀滞型・風寒湿痹型を中心に局所微小循環を改善し、炎症や軟骨細胞のアポトーシスを抑えて軟骨退変を遅らせる。推拿は筋・靱帯を伸展して癒着を解除し、関節間隙や力学的バランスを改善することで疼痛と関節機能を改善し、穴位注射では梁丘、血海、陰陵泉、陽陵泉などへの復方丹参注射などが報告されている。中薬内服では右帰丸(補記:熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、杜仲、菟絲子、鹿角膠、当帰、肉桂、附子)が炎症反応を抑制して軟骨退変を軽減し、独活寄生湯(補記:独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、防風、肉桂、当帰、川芎、地黄、白芍、人参、茯苓、甘草)は独活・桑寄生による祛風通絡・散寒除湿と、牛膝・杜仲による補益肝腎を組み合わせ、炎症抑制、軟骨基質分解抑制、軟骨細胞増殖促進作用を示す。外用では艾辛痛方(原文記載:艾葉、細辛、当帰尾など)の貼敷が関節腫脹と可動域を改善し、風寒湿痹型では加味陽和湯内服と中薬外敷の併用により疼痛、関節機能、炎症、再発率の改善が報告されている。また筋骨痛消丸とセレコキシブ、火針とセレコキシブ、揿針とリハビリ、通痹逐瘀方熏洗とリハビリなどの併用も行われ、中薬による臓腑・気血・痰瘀の調整と、針灸・推拿・リハビリによる関節可動域・筋骨筋膜機能の改善を内外から組み合わせることが特徴である。総じて、中医保守治療は辨証論治を基礎として補益肝腎、祛風散寒除湿、活血化瘀、通絡止痛を行い、針灸・推拿・中薬・リハビリを組み合わせて疼痛、関節可動域、筋力、軟骨障害を総合的に改善する治療体系であるが、作用機序に関する研究はまだ断片的であり、今後はより体系的な研究が必要とされる。(2025年、縦亜)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「骨痹」「筋痹」に属し、その病機は婁多峰教授の「虚・邪・瘀」で整理でき、正虚、とくに肝腎虧虚を本とし、風寒湿などの外邪侵入を発症条件、瘀血・痰濁・気滞を重要な病理産物とする。本論文では中薬湯剤を「補虚」「祛邪」「活血」の3群に分類している。補虚では補益肝腎を中心とし、独活寄生湯(独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、茯苓、肉桂、防風、川芎、人参、甘草、当帰、白芍、地黄)、補肝益腎健骨湯(穿破石、熟地黄、懐牛膝、赤芍、杜仲、当帰、党参、沢蘭、桑寄生、独活、茯苓、川芎、秦艽、防風、白薇、桂枝、甘草、細辛)、補腎活血湯(川牛膝、没薬、紅花、杜仲、肉蓯蓉、補骨脂、熟地黄、当帰、鹿角霜、山茱萸、菟絲子、枸杞子)、膝三臓湯(熟地黄、懐牛膝、補骨脂、骨砕補、山茱萸、党参、茯苓、白朮、黄耆、山薬、杜仲、続断、当帰、炙甘草)、益腎壮骨湯(接骨草、石毛姜、血鳳藤、黄耆、熟地黄、淫羊藿、懐牛膝、丹参、杜仲、穿山甲、甘草)、補腎強骨湯(淫羊藿、杜仲、骨砕補、熟地黄、枸杞子、当帰、川牛膝、鶏血藤、白芍、黄耆、甘草)、補腎通絡湯(附子、桂枝、延胡索、青風藤、羌活、独活、桑寄生、骨砕補、烏梢蛇、牛膝、白芍、土鼈虫、鼈甲、杜仲、甘草)などが用いられ、肝腎を補いながら活血・通絡・祛邪を併用する。祛邪では風寒湿痹に薏苡仁湯(薏苡仁、蒼朮、羌活、独活、防風、桂枝、当帰、川芎、炙甘草)、寒湿痹阻に筋痹湯加減(附子、桂枝、川牛膝、羌活、防風、当帰、川芎、熟地黄、白芍、鶏血藤、透骨草、姜黄、老鸛草、炙甘草)や祛寒通痹湯(当帰、補骨脂、独活、菟絲子、炙甘草、威霊仙、熟地黄、牛膝、白朮、桂枝、白芍、附子、杜仲、桑寄生、防風、骨砕補)、湿熱痹阻には膝痹康湯(蒼朮、黄柏、熟地黄、鶏血藤、肉蓯蓉、大黄、牛膝、赤芍、莪朮、蘇木、木通、地竜、茯苓、薏苡仁、蜈蚣、全蝎、甘草)、藤苓清痹止痛湯(生地黄、牡丹皮、延胡索、絡石藤、姜黄、萆薢、防已、青風藤、沢蘭、沢瀉、玄参、土茯苓、牛膝、豨薟草、烏梢蛇、地竜、生薏苡仁、甘草)、清熱化湿通脈方(黄柏、薏苡仁、蒼朮、懐牛膝、麻黄、炙甘草、秦艽、木瓜、防已)などが用いられる。活血化瘀では「通則不痛」を基本として、瘀血痹阻・気滞血瘀に身痛逐瘀湯(秦艽、川芎、桃仁、紅花、甘草、羌活、没薬、当帰、五霊脂、香附、牛膝)、痛安湯(丹参、三七、竜骨、降香、白芍、甘草、両面針)、活血通絡湯(紅花、桃仁、枳殻、牛膝、羌活、川芎、白芍、蜈蚣、烏梢蛇、炙甘草)、湿熱阻絡を伴う場合には薏苡化瘀湯加減方(薏苡仁、赤小豆、滑石、茯苓、蒼朮、黄柏、丹参、沢蘭、連翹、延胡索、紫草、沢瀉、川牛膝、伸筋草、梔子、姜黄、甘草)が用いられる。臨床研究ではこれらの湯剤によって疼痛、腫脹、関節可動域、膝関節機能、中医証候などの改善が多数報告されており、補虚・祛邪・活血は独立した治法ではなく、補虚方にも祛邪・活血薬、祛邪方にも補虚・活血薬を配伍するなど「虚・邪・瘀」を同時に考慮することがKOA治療の特徴である。一方、中薬湯剤は構成が複雑で作用機序が十分に解明されておらず、煎じ方などの標準化にも課題が残されている。(2024年、李雲龍)
絶経後の膝骨関節炎(KOA)合併骨粗鬆症(OP)は、中医学ではKOAを「骨痹・痹証」、OPを「骨痿・痿証」と捉え、両者とも「痿痹並存」の特徴を有する。本論文ではその病機を「虚・瘀・痰・鬱」の4つで整理している。根本となる「虚」は脾腎虧虚で、絶経後は天癸が枯竭して腎精が不足し、精少髄虚から骨弱不堅となり、関節軟骨の濡養不足と骨量減少が同時に進行する。また脾虚によって水穀精微の化生が不足すると腎精を充養できず、さらに脾主肌肉の機能低下から筋肉が萎縮し、「骨肉不相親」となって筋骨の力学的均衡が崩れ、関節軟骨の退変と骨質流失を促進する。「瘀」は脾腎虧虚による元気不足から血行を推動できず、血脈が停滞して形成され、「不通則痛」により膝関節・腰背部疼痛を生じるだけでなく、骨・関節への気血供給を妨げて軟骨退変と骨破壊を進行させる。現代医学的にも骨内微小循環障害、灌流低下、低酸素、骨内圧上昇などとの関連が考えられ、骨砕補、当帰、丹参などの活血化瘀薬には軟骨保護と骨吸収抑制の双方の作用が報告されている。「痰」は脾腎機能低下による水液代謝障害を基礎として生じ、さらに瘀血による津液輸布障害が痰形成を助長する。痰が皮肉筋骨へ流窜すると関節疼痛や機能障害を生じ、長期化すれば脾主肉・腎主骨の機能をさらに障害する。痰湿は脂質代謝異常や慢性炎症とも関連し、骨髄間葉系幹細胞が成骨・軟骨方向より脂肪方向へ偏って分化することも、KOAとOPを結びつける機序として考察されている。「鬱」は絶経後女性の腎精不足に加えて、慢性疼痛、関節機能障害、骨折や身体機能低下などから生じ、脾腎虧虚と瘀血・痰濁が肝の疏泄を阻害することで気機鬱滞を形成する。反対に長期の不安・抑鬱などの情志異常は気機をさらに停滞させ、瘀・痰を増悪させるとともに脾腎精気を損傷し、「痿痹致鬱→鬱致痿痹」という悪循環を形成する。したがって絶経後KOA合併OPは、脾腎虧虚を本として瘀血・痰濁・鬱滞が相互に影響しながら進展する「虚・瘀・痰・鬱」の複合病態と考えられ、治療では補腎健脾、活血化瘀、化痰、疏肝解鬱を組み合わせることが提唱されている。なお本論文は病因病機を中心とした理論研究であり、具体的な治療方剤や構成生薬・用量は提示されていない。 The etiology ...nd depression_L…(2024年、劉応泉)
膝骨関節炎(KOA)は中医学では「痹証」「骨痹」「筋痹」「骨痿」「筋痿」などに属し、「筋骨共病、痿痹共存」であり、核心病機を「本痿標痹」と捉える。本である「痿」は肝・脾・腎の一臓または複数臓の虧虚による筋骨失養で、肝血虚では筋脈が濡養されず、肝鬱では気血運行が滞り膝関節の屈伸が障害されるため疏肝解鬱・養血が重視され、逍遥散(補記:柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、炙甘草、生姜、薄荷)が用いられる。腎虚では腎精不足から生髄無源となり骨骼が失養し、さらに「腎虚→天癸竭→性ホルモン低下→骨代謝異常」へ進展するため早期から補腎壮骨が重視される。脾胃虚弱では気血生化不足によって筋肉・筋脈が失養し、さらに脾虚失運から痰湿が生じて経脈を阻滞するため、補脾・健脾・温運脾陽・滋脾養陰を病態に応じて用いる。実際には肝腎虧虚、肝脾虚弱、さらに肝脾腎三臓虧虚が相互に関連し、肝主筋、脾主肌肉、腎主骨という三臓の協調が失われることがKOAの発症基盤となる。標である「痹」は、虚を背景として風寒湿邪が侵入し、経絡を閉阻して気血運行を妨げる風寒湿痹、病久あるいは虚から瘀を生じる気血瘀滞痹、脾虚による痰湿と瘀血が相互に結びつく痰瘀阻絡痹に大別される。風寒湿痹では滋補肝腎を基本としながら祛風・散寒・除湿・清熱・化痰・活血を組み合わせ、蠲痹湯加減(補記・推定:羌活、独活、秦艽、防風、当帰、川芎、桂枝、甘草、海風藤、桑枝、乳香、木香など)が用いられる。気血瘀滞では瘀血が単なる結果ではなく病態をさらに進展させる原因となり、気滞血瘀、寒凝血瘀、瘀血阻滞、気虚血瘀、腎虚血瘀、痰血瘀滞などに分けて活血化瘀・通絡止痛を行う。痰瘀阻絡では痰濁が気機を阻滞し、水湿・瘀血と結合して関節腫脹や変形を生じ、痰瘀はKOAの全経過を通じて病態を増悪させる。病期としては、早期には軟骨退行変化、筋力低下・筋萎縮を主体とする「痿」が前景に立ち、進行すると疼痛・腫脹・変形を主体とする「痹」が顕著となり、さらに長期化すると疼痛が軽減しても関節機能が廃絶する「痿」へ再び移行するため、「痿」と「痹」は相互に転化しながら全経過を貫く。したがって治療は、痿期では肝・脾・腎の虚を辨証して補法を主体としつつ除痹止痛を加え、痹期では病邪に応じて開痹祛邪、活血通絡止痛を主体としながら補法を併用する、すなわち「虚を補い、痹を開き、邪を除き、臓を安ずる」ことが基本となる。 Overview of T...steoarthritis_L…(2024年、呂世偉)
独活寄生湯は肝腎虧虚型の膝骨関節炎(KOA)に用いる代表的な古典方で、『備急千金要方』を出典とし、独活、桑寄生、杜仲、牛膝、細辛、秦艽、茯苓、肉桂、防風、川芎、人参、甘草、当帰、白芍、地黄の15味から構成され、祛風除湿、活血通痹、補益肝腎によって標本を兼治する。KOAは本虚標実・虚実夾雑で、肝脾腎虧虚と筋骨失衡を本とする病態であり、独活寄生湯は肝腎を補いながら風寒湿を除き、気血を補い、活血通絡することで疼痛と関節機能障害を改善する。現代研究では、炎症反応と軟骨細胞のアポトーシスを抑制し、酸化ストレスを軽減するとともに、軟骨細胞増殖を促進し、Ⅱ型コラーゲンなど軟骨基質の維持、軟骨細胞外基質分解の抑制、骨代謝改善などを介して関節軟骨を保護する多成分・多標的作用が示されている。動物・細胞研究では炎症性サイトカインの産生抑制、炎症小体の過剰活性化抑制、軟骨基質分解酵素の低下、軟骨細胞の内質網ストレスやアポトーシスの抑制などが確認され、単なる鎮痛ではなく炎症・軟骨代謝・免疫・骨代謝を複合的に調節する可能性が示されている。臨床では独活寄生湯単独のほか、ジクロフェナク、セレコキシブ、グルコサミンなどとの併用、鍼刺・温鍼灸・雷火灸・推拿・小針刀との併用、ヒアルロン酸や多血小板血漿の関節腔内注射との併用、さらに関節鏡手術や人工膝関節置換術後への併用が検討され、疼痛、膝関節機能、炎症状態、酸化ストレス、骨代謝、軟骨損傷などの改善が報告されている。複数の系統的レビューでも西洋薬や関節腔注射などへの独活寄生湯追加による疼痛・関節機能改善が示されているが、安全性については十分確立していないとの指摘もある。方中では独活、桑寄生、細辛、秦艽、防風、肉桂が祛風散寒除湿、当帰、地黄、白芍、川芎、杜仲、牛膝が養血・補益肝腎・強筋骨、人参、茯苓、甘草が益気健脾を担い、「久痹+肝腎虧虚+気血不足」というKOA病態に対して祛邪と扶正を同時に行う点が特徴である。 Mechanism of ...steoarthritis_C…(2023年、陳紹華)

