タバコと神経疾患
■喫煙はパーキンソン病への保護効果はありますが、根本原因は自己免疫疾患に伴う逆行性のα-シヌクレインの蓄積であるので、ニコチンの投与は対症療法的であって治療効果は乏しいです。
喫煙がパーキンソン病の発症と逆相関があることが報告されています。(2020年のKashirerら、2012年のNielsenら)
2012年にQuikらは、喫煙のパーキンソン病に対する保護効果を、ニコチン性アセチルコリン受容体を介する作用であることを総括しました。
2018年にVillafaneらは、パーキンソン病患者に高用量経皮ニコチンを投与したが、症状の改善は認めませんでした。
■アルツハイマー病に対して喫煙は保護効果があると初期には報告されていましたが、現在はリスク要因として認められています。
1991年にGravesらは、アルツハイマー病と喫煙およびアルコールとの関連を調べた11の研究を総括しました。アルコールは関連なしでしたが、喫煙は保護効果を持つ可能性を示唆しました。
2010年にCataldoらは、アルツハイマー病と喫煙との関係を調べた過去43の研究を総括して、喫煙がアルツハイマー病の危険因子であると結論付けています。
アルツハイマー病の修正可能な危険因子として、認知的関与、食事/栄養補助食品の摂取、身体活動レベル、2型糖尿病、アルコール消費レベル、気分障害、高血圧、高コレステロール血症、および喫煙が提案されています。(2011年のDaviglusら、2011年のBarnesら、2011年のEtgenら)