無汗症
(2022年7月7日の記事を加筆しました)
無汗症(anhidrosis)は、発汗が減少したりなくなったりするため、皮膚が乾燥し、かゆみが出ることがあります。広範囲の無汗症では、高温になると体温調節の障害で、のぼせ、発熱、脱力、易疲労性、頭痛、めまい、嘔気、動悸などが起こります。
先天的なものは、遺伝性で全身の無痛と無汗を主症状とする先天性無痛無汗症があります。
後天性のものは、特発性後天性全身性無汗症(AIGA、Acquired Idiopathic Generalized Anhidrosis)と呼ばれ日本では難病指定されています。
AIGAは、世界的に見ても特に日本で報告されおり、アレルギー性機序の可能性が以前より指摘されており(1989年、村上ら)、最近では自己免疫疾患であることが指摘されています。(2021年、Kageyamaら)
ガイドライン(2017, Munetsugu)ではステロイド治療が推奨されていますが、ステロイドパルス療法の一年間での奏効率は73%、再発率は48%でした。(2021, IIda)
中医学では、発汗解表(身体の表にある邪気を除くこと)の作用を持つ麻黄や桂枝を含む麻黄湯などを使う方法が提唱されています。(中医診断と治療、上巻)
無汗症と甲状腺機能との関係は、馬(2009, Breuhaus)およびヒト(2014, Kiat)の無汗症での報告がありますが、特に関係なく甲状腺機能そのものは正常であったとされています。
摂取されたヨウ素の90%は尿中に排泄されますが、それ以外は汗で排泄されるために、激しい運動による発汗でヨウ素欠乏症を起こすことが報告されています。(2001, Mao)(2005, Smyth)逆に無汗症では、ヨウ素蓄積が起こる可能性があります。
現時点で関西では、大阪大学医学部附属病院皮膚科の中川幸延先生の木曜日の初診外来(要紹介状)で受付されているそうです。