メラトニンと神経発達疾患のまとめ
まとめ:トリプトファン代謝におけるキヌレニン分岐のIDO活性が神経発達疾患に関与しています。
サプリメントとしては、メラトニンとニコチン酸が有効であり、5-HTPは逆効果になる可能性があります。
ASD、ADHD、神経発達障害、知的障害へのメラトニンの有効性が総括されています。(2020, Rzepka-Migut)(2020, Wu)(2019, Esposito)(2011, Sánchez-Barceló)
自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が効果がないことが、コクランレビューで総括されています。(2013, Williams)
SSRIへの出生前の暴露が自閉症および発達遅滞のリスクが懸念されています。(2017, Andalib)(2017, Kaplan)(2014, Halington)
妊娠中の正常なメラトニン濃度は、脆弱な中枢神経系における過剰な酸化ストレスの抑制を通じて、胎児の神経保護と正常な神経発達を助けます. さらに、正常な睡眠パターンと概日リズムは十分なメラトニン レベルによって維持されるため、正常なメラトニン分泌も神経発達に影響を与える可能性があります。(2018, Jin)
マウスの実験で、免疫活性化は、トリプトファン代謝酵素であるインドールアミン 2,3-ジオキシゲナーゼ (IDO) をアップレギュレートし、成体における炎症の行動的結果の多くを媒介し、実験的に妊娠中の母動物のキヌレニンレベルを増加させると、子孫の自閉症様行動の発症させることが報告されています。(2017, Coelho)
キヌレニン分岐の過剰活性化は、メラトニンとセロトニンの枯渇を誘発し、ASD 症状を悪化させることが総括されています。(2020, Savino)
ニコチンアミドリボシド補給は、自閉症スペクトラム障害のマウスモデルの症状を改善することが報告されています。(2020, Gerasimenko)
自閉症スペクトラム障害患者において、リンパ芽球様細胞株の代謝プロファイルにてトリプトファン代謝の低下が報告されています。(2013, Boccuto)
アカゲザルに5-HTPを投与することによって、 急速にセロトニンが増えることで社会的行動が悪化することが報告されています。(2021, Weinberg-Wolf)
トリプトファン経路の松果体最終代謝産物である臍帯血漿 5-MTX(5-メトキシトリプトホール) が、ASD および ADHD のリスクと逆相関すること、臍帯トリプトファン、5-HTP、および N-アセチルトリプトファンのレベルが高いほど、ADHD のリスクが高くなることが報告されています。(2022, Raghavan)
マウスの研究でキヌレニン経路代謝物がASDおよびADHDのバイオマーカーになることが報告されています。(2019, Murakami)