医者が自分にワクチンを打ち、獣医が打たない理由
ある獣医の方から、獣医はほとんど新型コロナウイルスワクチンを打っていないという話を聞きました。
一方で医師は、勤務医はほぼ100%、医学生もほぼ100%、勤務医以外の多くの医師もこのワクチンを自分自身に打っています。
獣医は日常的にワクチン接種を行っており、実際のワクチンに詳しいのは医者よりも獣医です。有名な宮沢先生も獣医です。
猫伝染性腹膜炎という疾患があります。これは猫コロナウイルスが原因となり、致死率の極めて高い疾患です。
猫コロナウイルス(下図A、B、C)はプラス鎖一本鎖RNAを持ち、突然変異を極めて起こりやすいウイルスで、 新型コロナウイルス(下図D、E、F)とよく似ています。(2022, Gao)
一本鎖ウイルスは、2本鎖ウイルスより変異しやすく、RNAウイルスはDNAウイルスより変異しやすいので、一本鎖RNAウイルスは最も変異しやすいウイルスです。
猫伝染性腹膜炎に対するワクチンはこれまで多くの研究がされていますが、抗体依存性感染増強(ADE, antibody dependent enhancement)からサイトカインストーム(過炎症)を起こすため有効なワクチンができていません。(2020, Cloutier)
獣医の方は猫コロナによる猫伝染性腹膜症をよく知っておられ、猫コロナウイルスのワクチン開発が失敗していることを知っておられるので、今回の新型コロナワクチンのリスクを容易に想像することが出来ます。
一方、猫伝染性腹膜性は医者には馴染みのない病気です。
ブタ繁殖呼吸障害症候群も、プラス鎖一本鎖RNAウイルスでありワクチンの開発がADEによって失敗に終わっています。(2021, Halstead)
テング熱も同じプラス鎖一本鎖RNAを持ち、突然変異を極めて起こりやすいウイルスです。2015年にテング熱ワクチンが開発されて実用化されましたが、テング熱未感染者にワクチンを接種すると抗体依存性感染増強(ADE)を誘発して重症化することが報告されました。(2018, Sridhar)(2019, 渡邉)
現在認可されているテング熱ワクチンは、非接種者が既感染者であることを抗体で確認してから接種することが推奨されています。(国立感染症研究所)
抗原に対して作られる抗体は感染防御に有効な中和抗体と、反対に感染を悪化させる非中和抗体があります。テング熱に未感染の方がワクチンを摂取すると、ADEの原因となり得る非中和抗体を持つリスクが生じます。その状態で、変異をしてしまったテング熱に感染すると中和抗体が効果を発揮出来ず、非中和抗体が原因となってADEが起きて重症化します。
ヒトのコロナウイルスは7種類ありますが、新型コロナ以外のMARSやSARSのワクチン開発もADEのために失敗に終わっています。(2021, Halstead)
最も変異しやすいプラス一本鎖RNAウイルスの新型コロナに対するワクチンは、常に旧株に対するワクチンを打つことになります。これは中和抗体ではなく非中和抗体を作るリスクが生じて、将来の変異株に感染した際にADEを起こす可能性があります。
世界131カ国の接種率と感染率・死亡率の関係を解析して、新型コロナワクチン接種が多いほど新型コロナ感染および死亡率が高いというデータを出しました。このデータは新型コロナウイルスでADEまたは免疫抑制が起こっている可能性を示唆していると考えています。