高マグネシウム血症
高マグネシウム血症(hypermagnesemia)は、腎不全のある方に酸化マグネシウムを投与している時に起こるケースが一般的で、治療は原因薬剤の中止です。それ以外のケースはまれです。(2006, Onishi)
血清Mg濃度が2.7mg/dl以上のときに診断されます
高Mg血症は、軽度では症状が出現しません。血清Mg値が5mg/dlを超えると、嘔吐や筋脱力、傾眠、徐脈、低血圧などがみられ、12mg/dl以上になると、意識混濁・消失や呼吸筋麻痺が生じ、心停止に至ることもあります。
治療は原因薬剤の中止をした上で、軽度の高Mg血症では、生理食塩液とループ利尿薬の点滴静注で尿中Mg排泄を促して補正します。
■マグネシウムは体内では、骨と筋肉に存在します。
■食事由来のマグネシウムは、30〜50%が小腸で吸収されます。
マグネシウムは共存するたんぱく質、糖質、ナトリウム、ビタミンD、PTH(副甲状腺ホルモン)によって促進し、脂肪酸、カルシウム、リンの過剰摂取により抑制されます。マグネシウムとカルシウムは共通のメタルトランスポーターを介するために、吸収される際に拮抗すると考えられています。(1994, 糸川)
■マグネシウムの吸収と排泄
食事摂取量の約10倍が腎臓で濾過と再吸収されていますので、腎不全で高マグネシウム血症となります。
マグネシウムが不足した場合には、腎臓からの排泄が調節されて、ほとんどゼロになります。