ミオクローヌス
ミオクローヌスとは、単一の筋または筋群に生じる電気ショック様の短時間の筋収縮です。いわゆるピクつきです。
ミオクローヌスは,発生起源に応じて以下のように分類されます。(平成27年、宇川)
皮質性:てんかん性のもので、脳波検査でてんかん性発作波が認められます。部分てんかんに分類されます。
皮質下性:伴う大脳の皮質下に原因があるもの。代表的なのはクロイトフェルトヤコブ病で、視床や脳幹由来の異常放電によって起こります。
末梢性:最も一般的な末梢性ミオクローヌスは 片側顔面痙攣です。
脊髄由来のものに固有脊髄ミオクローヌスがあります。主に入眠時に起こるミオクローヌスです。(2001, Vetrugno)
固有脊髄ミオクローヌス(propriospinal myoclonus、PSM)は、一次 性(特発性)、二次性 (感染、薬剤、病変、または外傷)に分類することができます。約7割が原因不明の特発性です。構造的損傷による二次的な症例は比較的まれで、報告された 179 件の PSM 症例のうち 12 件 (7%) のみが「構造的脊髄損傷」によるものでした。虚血性脊髄症、子宮頸部腫瘍、視神経脊髄炎、脊髄空洞症、頸椎椎間板ヘルニア、および背中の外傷は、PSM を引き起こす可能性のある他の脊髄病変の例です。二次性PSMの原因となる感染は、帯状疱疹ウイルス、C 型肝炎ウイルス、ライム神経ボレリア症、大腸菌があります。薬剤性 としては、インターフェロン、シプロフロキサシン、ブピバカインなどが明らかに PSM を活性化した少数のケースもありました。脊椎手術後にPSMを発症した患者のインドから症例報告もあります。(2015, Salm)(2022, Baker)
なお、全般てんかんでみられるミオクロニー発作(myoclonic seizure)もミオクローヌスの定義に合致しますが、この場合はミオクローヌスとは呼びません。(2012, 柴崎)