痢疾(しぶり腹)の中医治療
痢疾は、下痢、腹痛に加えて、裏急後重(しぶり腹、テネスムス、便意はあるがスッキリ出ない)、赤白膿血の便を特徴とします。
西洋医学での、赤痢、コレラ、潰瘍性大腸炎などで直腸に炎症が存在する状態です。
泄瀉(下痢)と痢疾の違いは、炎症症状としての裏急後重、赤白膿血の便の有無です。
湿熱痢 | 最初は水痢で次に赤白色便、腹痛、裏急後重、肛門灼熱、時に悪寒、発熱 | 芍薬湯加減 | |
寒熱痢 | 激しい腹痛、白の目立つ赤白粘凍の便、裏急後重、時に悪寒、発熱 | 胃苓湯 加 当帰、木香、焙羗、枳実 | |
疫毒痢 | 急激な腹痛、膿血の下痢、嘔気、不食 | 白頭翁(はくとうおう)湯 合 芍薬湯 | |
噤口(きんこう)痢 | 下痢、嘔吐、食欲不振、長期化すれば陰虚痢、虚寒痢に移行する | 実証 開噤散加減、虚証 香砂六君子湯、参苓白朮散 加 生姜汁 | |
休息痢 | 下痢が間欠的に長期間続く、食べ物やストレスで誘発される、不食、倦怠感 | 資生丸加減 | |
陰虚痢 | 赤白色の下痢が長期間続く | 黄連阿膠湯 合 駐車丸 去 乾姜 | |
虚寒痢 | 白凍状の下痢が長期間続く、冷え症 | 軽症は附子理中丸、重症は桃花湯 合 真人(しんじん)養蔵湯 | |
労痢 | 赤白色の下痢が長期間続く、午後潮熱、身体はやせ衰え、五心煩熱、冷え症、乏力 | 四君子湯 加 山薬、蓮子肉(れんしにく、収渋) |
噤口は、口をつぐむことです。
芍薬湯加減:芍薬、当帰、黄連、木香、檳榔(びんろう、行気、利水)、炙甘草、大黄、黄芩、官桂(肉桂)
胃苓湯:甘草、茯苓、蒼朮、陳皮、白朮、官桂、沢瀉、猪苓、厚朴、生姜、大棗
白頭翁湯:白頭翁(清熱涼血)、黄柏、黄連、秦皮(清熱燥湿)
開噤散加減:人参、黄連、石菖蒲、丹参、石蓮子(せきれんし、解熱)、茯苓、陳皮、陳倉米(ちんそうべい、補気)、冬瓜仁(とうがにん、清火熱痰)、荷葉帯(かようたい、祛暑)
香砂六君子湯:人参、白朮、茯苓、甘草、陳皮、半夏、縮砂仁、木香、生姜
参苓白朮散:蓮子肉(れんしにく、収渋薬、健脾)、薏苡仁、縮砂仁(しゅくしゃにん、補気)、桔梗、白扁豆、茯苓、人参、甘草、山薬
理中湯:人参、乾姜、炙甘草、白朮
資生丸加減:人参、白朮、茯苓、山薬、蓮子肉、陳皮、麦芽、神麹(しんきく、消導)、山査子(さんざし、消導)、薏苡仁、芡実(けつじつ、収渋)、縮砂仁(しゅくしゃにん、補気)、白扁豆、甘草、桔梗、藿香、白豆蔲(びゃくずく、行気)、黄連
黄連阿膠湯:黄連、黄芩、芍薬、阿膠、鶏子黄(けいしおう、滋陰)
駐車丸:黄連、乾姜、当帰、阿膠
附子理中丸:焙附子、人参、白朮、焙乾姜、炙甘草
桃花湯:乾姜、赤石脂(しゃくせきし、収渋)、梗米(こうべい、補気)
真人養蔵湯:人参、白朮、当帰、肉豆蔲(にくずく、収渋)、肉桂、甘草、白芍、木香、訶子(かし、収渋)、罌粟殻(おうぞくかく、収渋)
四君子湯:人参、炙甘草、茯苓、白朮