がんの血管新生を阻害する食物

癌細胞の増殖および転移は、十分な酸素と栄養素の供給と老廃物の除去に依存するから、がんの血管新生は極めて重要です。新しい血管とリンパ管は、それぞれ血管新生とリンパ管新生と呼ばれる過程を経て形成されます。これまでに多種類の抗血管新生療法が行われて来ましたが、長期生存の点で有益であることが証明されていません。(2022, Nishida)(2017, Rajabi)(2011, Li)

乳がんの血管新生に対して治療的に働く植物化学物質として、カテキン(黒茶、緑茶)、クルクミン(ターメリック)、フラボン(果物、野菜、ナッツ、お茶、ワイン)、ゲニステイン(大豆)、リグナン(アマニ粒、末)、リコピン(トマト、すいか、グレーピフルーツ、パパイヤ、グアバ)、プロアントシアニジン(グレープシードエキス、リンゴ、ベリー類、シナモン)、レスベラトロール(グレープ、赤ワイン、ベリー、ピーナッツ、プラム、豆類)が報告されています。(2012, Reuben)

クルクミン、アルテミシニン、EGCG、レスベラトロール、エモジン、セラストロール、チモキノン、トコトリエノールなどの天然化学物質は、腫瘍血管新生の前臨床モデルで顕著な抗血管新生効果を示しています。(2017, Shanmugam)

伝統的に抗がん治療に使用され、複数の相互依存プロセス(遺伝子発現、シグナル処理、酵素活性への影響を含む)を通じて抗血管新生作用を持つハーブには、 Artemisia annua(中国のヨモギ)、Viscum album(ヨーロッパヤドリギ)、Curcuma longa(クルクミン)、Scutellaria baicalensis(中国のスカルキャップ)、レスベラトロールとプロアントシアニジン(ブドウ種子抽出物)、Magnolia officinalis(中国のモクレン)Camellia sinensis(緑茶)、イチョウ、ケルセチン、Poria cocosZingiber officinalis(ショウガ)、高麗人参、Rabdosia rubescens hora(ラブドシア)、中国の鬱滞解消ハーブなどがあります。天然健康製品は、上皮成長因子受容体、HER2/neu遺伝子、シクロオキシゲナーゼ 2 酵素、核因子 κB 転写因子、タンパク質キナーゼ、Bcl-2 タンパク質、凝固経路など、血管新生以外の分子経路をターゲットにしています。(2006, Sagar)

にんにくの成分アリインが大腸がんの血管新生と増殖を阻害することが報告されています。(2006, Matuura)(2005, Mousa)

ベリー類に含まれるアントシアニンは、血管新生に作用して抗がん作用を発揮することが報告されています。(2004, Beguchi)