自分で出来るトラウマ治療、知は力なり

「知は力なり」、「知識は力なり」という言葉があります。イギリスのフランシス・ベーコンが言った言葉だそうです。

知識を持つことで、人生は生きやすくなるという意味であると理解しています。

記憶には、普通の記憶とトラウマ記憶の二種類があります。

例えば、一昨日の晩御飯は何を食べたかと聞かれて、忘れてしまっていて、即答できる人は少ないでしょう。

普通の記憶は、このようにドンドン忘れてしまいます。(これを記憶の処理と言います)

一方で、トラウマ記憶とは、忘れたくても忘れられなくて、何度も勝手に思い出されて苦しみます。これが、フラッシュバックという現象です。

なぜ、このようなトラウマ記憶が出来上がってしまうかというと、二度と同じ体験をしないように、自分自身に警告をするためです。

大昔から人類は危険な場所で怪我をしたり、動物に襲われたりしてきましたが、その出来事が二度と起きないように、しっかりと記憶にとどめて、そういった場所や動物に近づかないようにしてきました。(これを回避をいいます)

トラウマの治療とは、このトラウマ記憶を普通の記憶に変換していく作業です。(これを記憶の再処理といいます)

ここで非常に問題となるのは、被害者と加害者の逆転現象が起こることです。

例えば、青信号で横断歩道を渡っていて、車が突っ込んできて事故に遭ったとすると、100%車が悪く、歩行者は被害者です。

ところが、これがトラウマ記憶のメカニズムとして、歩行者の頭の中では、「自分がそこを歩いていたから事故に遭った、自分が悪い」と認知します。

これが被害者と加害者の逆転現象で、トラウマでは必ず起こってきます。

トラウマの種類は交通事故以外でも、対人関係でのトラウマでも、この被害者と加害者の逆転現象が必ず起こります。

つまり、何が言いたいかというと、

トラウマやフラッシュバックに関係する記憶がある人は、

自分は悪くない、自分は被害者で相手が加害者であると理解する、その知識を持つことが大事です。

ちょっと、ピンと来ない人は、

あなたが尊敬する人や、親しい人を思い浮かべて、その人から第三者的な目で、そのトラウマ体験を見てみてください。

相手が加害者で、あなたが被害者であることが気がつけると思います。(これはトラウマ記憶の認知療法です)