BCGワクチンの非特異的効果はよくわからない
■疫学的にBCGワクチンが新型コロナウイルスに効くという話がありますが、BCGワクチンの結核菌以外に対する効果を非特異的効果やオフターゲット効果と言います。
一般的な非特異的効果は、BCGワクチンの接種者と非接種者の死亡率を比較することによって評価します。
1 = ワクチン接種者の死亡率/ワクチン非接種者の死亡率:ワクチンの非特異的効果なし
1 < ワクチン接種者の死亡率/ワクチン非接種者の死亡率:ワクチンの非特異的効果あり
この計算では結核による死亡者は除外されており、計算は調整されています。
2016年にHigginsらが、総論を出してます。
全体で見ると、「非特異的効果あり〜非特異的効果なし」まで、幅広い結果になってます。
2016年にHaahrらは、グリーンランドの結果では非特異的効果を認めないと報告してます。
■BCG接種はハンセン病に対する非特異的効果を持っていることが知られていますが、2006年にSetiaらが総論を出しています。
これまでの報告のデータ全体からBCG接種のハンセン病に対する有効率を26%と報告しています。
■BCG接種は実験的に感染させられた黄熱ウイルスに対して、非特異的効果を持っていることを2018年にArtsらが、報告しています。
BCGワクチン接種が、単球のゲノム全体の後天的な遺伝子発現を誘導して、サイトカインを増やしてウイルス感染に防衛的に作用します。
■早期の膀胱癌の経尿道的な内視鏡手術の後に再発予防として、BCGワクチンを膀胱内に直接注入する治療法があります。
これはBCG膀胱内注入療法と呼ばれ保険適応となってます。
膀胱内に注入した結核菌が、免疫系の賦活・活性化を行うことによって、癌の再発を予防します。
この治療による5年再発率は約40%で、未実施の場合の5年再発率は約70%です。
■BCGワクチンがアレルギー疾患の発病を抑制していると言う報告(2000年にAabyら)もありましたが、1997年にYohannら、2003年にKrauseらが否定的な報告をしています。