脂肪肝では、鉄剤投与は禁忌

2019年7月7日

肝臓は生体において鉄貯蔵の役割を担っています。肝細胞で はその多くがフェリチン結合鉄の形で約 1 g が肝臓に 貯蓄されています。毎日 1 mg 程度までの鉄が便,尿,汗, 皮膚から排泄され,それに見合った鉄量が主に十二指 腸で吸収されます。

過剰な鉄過剰が起これば、肝臓に問題が起こってきます。

一般に見られる脂肪肝では、鉄過剰が起こっています。

鉄代謝の抑制物質であるヘプシジン産生に問題があり、腸管から鉄の吸収が増えるためです。(諸説有り)

一般的炎症性疾患では、フェリチンを貯蔵鉄の指標として使えません。

脂肪肝の場合は、フェリチンは貯蔵鉄の指標になります。

軽症の脂肪肝では、細胞の破壊は起こらずに、減量によって可逆的に回復出来ます。

一方で重症化する場合もあります。

非アルコール性脂肪性肝疾患も、症状の幅、重症度の段階があります。実はこれに鉄が関与してます。

下図は、C型肝炎の発がん機序ですが、脂肪肝でも似た病態になってます。

C型慢性肝炎で、肝臓内の鉄蓄積が肝疾患の病態と治療に影響する仕組みには三通りあります(図2)。第一に、鉄は肝障害を促進します。鉄イオンは、体内移行の過程で荷電が三価と二価の間を往復するために、組織内の酸素・過酸化水素などに働いて活性酸素種を作ります。活性酸素種は細胞内小器官であるリソゾームの膜を破壊するので、そのために肝細胞も破壊されます。その結果、破壊された肝細胞から中に蓄積されていた鉄が放出されます。その鉄が原因となって、更に活性酸素種の量が増加しますから、悪循環となって肝細胞傷害が増幅し続けるのです。また、活性酸素種は脂質を酸化させ、ミトコンドリア膜を傷害します。そのために線維化促進物質と発癌誘発物質などの細胞障害性物質が分泌され、結果として肝硬変と肝細胞癌が発症しやすくなります。更に、鉄には星状細胞を直接刺激して、線維化の原因となるコラーゲンを分泌させる作用があります。活性酸素種にもその作用があるので、両者が協力して肝臓の線維化を促進し、それが進行すれば肝硬変が起こることになります。肝硬変があれば、修復と増殖機転が反復して、ますます肝臓癌が起こりやすくなります。

鉄過剰が原因となって、脂肪肝は悪化しますので、外から余分な鉄を与えてはいけないと言うことです。

腸から鉄が乱入する状態なので、食事中の鉄(納豆やレバー)も避けた方が良いです。

当院は、このやり方に治療方針を変更します。