水溶性スタチンと脂溶性スタチン
スタチン剤はHMG-CoA還元酵素と構造が似ており、この酵素の代謝を阻害することによって、血中コレステロールとLDLコレステロールを20〜40%ほど下げます。
コレステロール低下薬のスタチンは、水溶性のものと脂溶性のものがあります。
ランセットの市原先生の報告があります。書籍も出ています。
現在6種類あるスタチンは、半減期の違いなどからレギュラーとストロングに分類される。
クレストールは、メバロチンの40倍の酵素阻害作用を持っている。
水溶性のスタチンは細胞膜を通り抜けることが出来ない。肝臓は、解毒臓器であるが、水溶性の薬物などを解毒するために水溶性物質取込装置(有機アニオン輸送担体)を持っている。この装置によって、水溶性スタチンは、肝臓と腎臓にだけ取り込まれて、コレステロール合成を阻害する。
一方で脂溶性スタチンは、細胞膜を通り抜けて、全身の細胞に入り、メバロン酸回路を阻害する。
脂溶性スタチンの大きな問題は、全身のミトコンドリアにおけるATP産生を阻害することで、特に心血管疾患へ悪影響があることです。
スタチンの疫学調査などがネガティブデータとポジティブデータが混在しているのは、水溶性と脂溶性の区別をつけていないのが原因であると。
スタチンを使うなら水溶性のものを使うべきです。