食物繊維とグルカゴン
人類の主食は元々は固い果実です。
糖質制限がこれだけメジャーになっても、断糖療法を勧める人はほとんどおられません。
妊婦さんはケトン体質になりますが、80%の方は悪阻で苦しみます。
ケトン体は、網様体と同じ場所にある嘔吐中枢に作用して吐き気を起こします。
これは、長年飢饉に苦しんでいた人類が、食べ物の無い時期も、空腹に苦しむことがないようにするためです。食欲と吐き気は反対の関係だからです。
自家中毒に苦しむ子供さんが居ますが、これもケトン体が原因です。
多くの妊婦さんが悪阻で苦しみ、子供が自家中毒で苦しむと言うことは、ケトン体質が合わない人は多いと言うことです。
一般論としては、糖質制限もほどほどが良いと言う結論になります。中庸を離れてはいけません。
ケトン体質になる原因は、グルカゴンの過剰分泌です。
多くの人は、終日糖質食べ放題で、インスリンがダダ漏れ状態となり肥満、生活習慣病、虫歯などになっています。
一方で、糖質制限をやり過ぎるとグルカゴンが過剰となり、痩せすぎ、食欲不振、吐き気、脂肪肝、高尿酸血症などの問題が出てきます。
また、2型糖尿病の病因は、典型的にはインスリン抵抗性とβ細胞機能不全に焦点が当てられていますが、過剰に亢進したα細胞機能とその結果生じる高グルカゴン血症は、肝臓でのブドウ糖産生を刺激することで、糖尿病患者の高血糖の一因となることが長い間認識されてきました。(2014, Godoy-Matos)(実験医学20249月号)
糖尿病の主役はインスリンではなくグルカゴンであると主張する意見もあります。(2012, Unger)(2016, Lee)
本来は、インスリンもグルカゴンも過剰にならないバランスが大事です。
グルコースエンジンとケトン体エンジンの両方を使えるハイブリッドが良いと言う結論です。
肥満型の糖尿病患者は肥満ホルモンのインスリン過剰、痩せ型の糖尿病患者は痩せホルモンのグルカゴン過剰と考えます。
グルカゴンの分泌の促進因子と抑制因子は以下です。
このグルカゴンの分泌を抑制するものの中で、ポイントになるのが①GLP-1の抑制、②低血糖を防ぐため三食食べること、③亜鉛摂取です。
このGLP-1の分泌を促進するのが、食物繊維と咀嚼です。特に腸内細菌のエサになる水溶性食物繊維です。
糖質制限とは、精製糖質は控えるべきですが、食物繊維は必要ということです。