放射能事故対策としての安定ヨウ素剤
原子炉で事故が起きると、放射性物質の1つである「放射性ヨウ素」が大気中に放出されます。この放射性ヨウ素が体内に取り込まれ甲状腺に蓄積されると、甲状腺がんを引き起こす可能性が高くなるので、放射能事故対策として、安定ヨウ素剤の事前配布が原発周辺の自治体によって行われています。
原発事故で放出される放射性ヨウ素を取り込む前に、放射性でないヨウ素で甲状腺を満たしておいて、放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれるのを防ぎます。取り込む前24時間以内なら90%取り込みを防げます。ポーランドでは、チェルノブイリ原発事故の時40歳未満と妊婦1000万人の国民に飲ませて、癌を防ぎました。
原子力規制委員会などから詳しい資料が出ています。
ポイントをまとめると以下です。
1.原則的に1回だけ医薬品のヨウ素の高容量の服用を行う。サプリや食事では代用できません。
2.飲むタイミングが重要で、暴露されるの24時間から2時間前に服用する。
暴露されてから16時間以降に飲んでも効果は薄い。
効果は24時間以上は持続する。
早く飲み過ぎると無効、遅すぎると逆効果になります。
3.代謝の激しい若年者が対象であり、40歳以上は効果は期待できない。
食事やサプリで摂る量の約100倍を1回だけ摂って、放射性ヨウ素の暴露後の甲状腺への放射性ヨウ素の取り込みをシャットアウトするという方法です。