腸カンジダ症の診断・検査
通常の真菌症であれば病変の一部を直接採取して顕微鏡で見る、あるいはそれを培養することによって確定診断が出来ます。
一方で、腸カンジダ症はこの直接的な診断方法が使えません。
症状から診断して、症状から治療経過を見ていけば良いです。
やたらに疲れやすい、腹部症状、皮膚や爪などの真菌症、抗生剤などの使用歴があれば腸カンジダ症の可能性はかなり高いです。
参考資料として、検査を列記しておきますが、高額検査もありますので、基本的には勧めていません。
病変から直接採取することが出来ないので、すべて間接的な検査になります。感染場所を確定出来ません。
また、カンジダは常在菌として誰にでも存在していますので、偽陽性、偽陰性という結果が出ることがあり、検査を有効に利用できないことがあります。
1.尿シュウ酸塩:カンジダは代謝物としてシュウ酸塩を量産します。ただし、シュウ酸はほうれん草などの食べ物にも含まれています。厳密に言えば、低シュウ酸食を摂って、なおかつ24時間蓄尿が必要になります。
2.尿有機酸検査:尿中の代謝物を測定します。
カンジダのマーカーとして酒石酸、アラビノースを測定します。
3.遅延型食物アレルギー検査
イースト類(製パン用イースト、醸造用イースト)が陽性に出ます。
グルテンが陽性に出ることもあります。(交差反応)
4.血液中のカンジダ抗体および抗原の検査
深在性カンジダ症の状態を把握するための目安として使います。(下図)ただし、約70%の人が陽性になる、偽陽性、偽陰性も多い、感染場所が特定出来ないなどの問題が指摘されています。
5.口腔や肛門粘膜から採取した検体と便検体を培養して調べます。
少量のものでも培養されて増殖した結果が出るので、結果の解釈が難しいです。
6.SIBO呼気検査
呼気のガス濃度を測定して、小腸内の細菌異常増殖を調べることが出来ます。
小腸内のカンジダの増殖か腸内細菌の増殖かの判別は出来ません。
7.総合便検査
顕微鏡検査と培養検査の2つがあるが、この2つの結果が不一致になることがある。つまり、擬陽性や偽陰性の問題がある。イーストは一様に便中に分布しているわけではないので、サンプルの取り方によってイーストの存在の有無がある。
8. リンパ球数、リンパ球比率
白血球分割において、リンパ球は免疫力に関係すると言われています。炎症性の腸疾患があると交感神経が優位に偏り、顆粒球(好中球、好塩基球、好酸球)が増えて、逆にリンパ球数が減少してきます。リンパ球数2000〜3000個/マイクロリットル、リンパ球の割合35~41%を目指して治療を進めていきます。
一方で、リンパ球の割合が高くなりすぎる(45~50%)になると、副交感神経が優位になりすぎて、過敏体質になりアレルギーなどの反応が出やすい状態になります。
好中球が55%以上では、交感神経優位です。
9. 尿中タウリン濃度が高値になることがあります。
10.重症例では血小板数が減少することがあります。
11.高尿酸血症になることがあります。
真菌が尿酸を産生するためです。
12.軽症例では高総コレステロール血症、重症例では低総コレステロール血症(150以下)となることがあります。
真菌が作る毒素のマイコトキシンに反応して、コレステロールが人の身体で製造されるため。
コレステロールがマイコトキシンの無毒化に関与していると言われています。
13.血液中のβ-D-グルカン
真菌壁の構成成分であるβ-D-グルカンを血液中で測定する方法があります。
問題は、偽陽性のケースがあること。感度は80%前後で、特異度は90%強。
血液カンジダ症に対して、一定の有用性はあり、経過観察にも使うことが可能ですが、腸カンジダ症には一般的には使いません。