迷走神経反射

朝礼や電車で倒れてしまう中学生がいます。

これは最も頻度の多い意識消失発作です。失神の分類で言えば、神経調節性失神=迷走神経反射です。血管迷走神経性失神(vasovagal syncope)とも呼ばれます。脳の血流が一時的に低下して起こる意識消失発作です。

迷走神経反射の診断のためには、ティルト試験が有効とされれています。ティルト試験では、悪心,嘔吐,眼前暗黒感,めまいなどの症状に加えて、血圧低下と徐脈を認めた場合に陽性とされます。(2011, Mizumaki)

長時間の立位、脱水(飲酒、運動など)、ショック(交通事故、恐怖体験、注射、採血など)、排便、排尿、喘息などをきっかけとして、交感神経系のスイッチがオフになり、副交感神経のスイッチがオンになる状態です。

自律神経のモードは、①リラックスモード、②戦うか逃げるかモード、③固まるモードの3つに大別できますが、この内の③固まるモードが迷走神経反射です。

迷走神経反射を繰り返す場合は、原因治療を行います。

脱水(運動、飲酒など)を契機とする場合は、水分と塩分の摂取が有効であることが報告されています。(2002, Bloomfield)

迷走神経反射は、年齢では13歳が最も多く発症し、女性が64%であることが報告されています。(2006, Sheldon)

成長期で生理が始まった女子中学生が朝礼で倒れる現象です。栄養状態に最も問題がある年齢とも言えます。

薬物療法による有効性は、ほとんどないことが総括されています。(2010, Aydin)