イヌイット

かつてカナダの極北地域では、植物が育たないために、動物や魚類だけを食料としていたイヌイットと言われる先住民族が住んでいました。

主な食料は、ホッキョクイワナ、アザラシ、トナカイの肉でした。

それらを生のまま、凍らせたり、煮たり、発酵させたり、乾燥させて食べてきました。

ほとんど調理と言えるものではない、味付けをしない素朴な食事でした。

イヌイットが未開の状態にある時代では、いかなる時代のいかなる種族にも劣らない、卓越した身体と完璧な歯を持っていたと言われています。(プライス「食生活と身体の退化」)

かつてのイヌイットは虫歯、癌、生活習慣病とは無縁であり、子供も穏やかで泣くこともなかったと言われています。

1960年以降は急激に食の欧米化が進み、それまで極めて少なかった肥満、虫歯、高血圧、糖尿病、癌、心筋梗塞、脳梗塞、うつ病などの現代病が蔓延するようになってきています。

かつてのイヌイットは歴史上最も健康な民族であり、現在の糖質制限・高タンパク食ダイエットの頂点に立つとも考えられています。

動脈硬化と癌が極端に少ないのが特徴ですが、極寒の地で、医療の恩恵を受けることが出来ない時代ですから、寿命は長くなかったそうですが、このあたりの事は調べても分かりませんでした。

スーパー糖質制限・高タンパク食の鏡ですが、全員がこの食事に適応出来ていたのか疑問に思います。

マッタックというイヌイットの好物があります。これは、イルカやトナカイの脂肪をついた皮部ですが、ゴムタイヤのような弾力で、噛んでも噛んでも噛みきることができない食べものですが、噛むほどに味わいが広がったそうです。イヌイットの老若男女を問わず人気第一の好物だったそうです。

イヌイットの食事であれば、強いケトン体質になっておりグルカゴン過剰になっていたはずです。

グルカゴン過剰の状態で健康な人もおられるかと思いますが、"keto flu”に苦しんだり、脂肪肝や高尿酸血症になる人も居たかもしれません。

このグルカゴン過剰を軽減する方法が、マッタックを噛むことだったのではと想像しています。