プロテインを摂りたくない!<その2>

(2)生物として見るとヒトは肉食動物

1.ヒトの身体はタンパク質の塊

ヒトの身体は水以外の部分はほとんどタンパク質で出来ています。

しかも、タンパク質の異化と同化、つまり分解と再生は24時間行われています。

ヒトの身体は、タンパク質の化学工場そのものです。

タンパク質は蓄積できない上に、常に排泄されるので、毎日の補給が必要です。

ヒトの身体は1年間で95%再生されます。

つまり1年間で、ほとんど人間1人分が入れ替わる計算になります。

極論を言わせてもらえれば、食材としては人間と同じ材料(つまり人間⁉︎)を食べることが出来れば理想的です。

それが出来ないので、人間に近いタンパク質(アミノ酸組成)を持つ動物を食べるのが次善手となります。

人間に必要な1日のタンパク質量は標準体重xグラムです。

体重60キロの大人であれば60gのタンパク質が必要で、これは肉400gまたは卵10個を毎日食べる量に相当します。

イヌイットや欧米人や子供であればこの計算量は食べることが出来るかもしれませんが、一般の大人の日本人では難しい量です。

そこで動物性プロテインのホエイプロテンを補充的に摂取することで、必要タンパク質量を充足させる方法が現実的です。

2.必須アミノ酸

タンパク質が大事だという話をしましたが、タンパク質はアミノ酸から構成されています。

アミノ酸はヒトでは20種類あり、この組み合わせでタンパク質が作られています。

20種類のアミノ酸の中でヒトが自分では合成出来ない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と言います。

つまり、「ヒトは食物から9種類の必須アミノ酸を摂取しなければいけない」と言う宿命を背負っています。

タンパク質は毎日合成する必要がありますが、毎日尿に排泄されます。

不足するタンパク質を補うために毎日タンパク質の摂取が必要で、特に9種類の必須アミノ酸をバランスよく摂取することが肝心です。

アミノ酸のバランスが悪いと、無駄なアミノ酸は肝臓で分解されて、尿中に排泄されます。

身体に無駄な負担を掛けてしまいます。

9種類の必須アミノ酸をヒトがバランスよく摂取することは穀物などでは無理があります。

卵、魚、肉でも摂取が可能ですが、ホエイプロテインを使う方法が最も効率が良いです。

動物実験でもバランスの取れたアミノ酸組成のエサを食べることが、健康が発達を促すことが報告されています。(2009年、Saavedraら

3.腸の長さから見てもヒトは肉食動物

動物の腸の長さを比べてみると、草食動物では非常に長く、肉食動物では短くなっています。

肉に比べて植物から栄養を摂取するには、長い腸が必要になるためです。

4.人間は後腸発酵動物

動物は、ウシなどの前腸発酵動物とネズミやヒトなどの後腸発酵動物に大きく2つに分類することが出来ます。

この場合の腸とはヒトで言う小腸のことで、栄養素の吸収を行う腸のことです。

この小腸の前に位置する消化器官で微生物による発酵を行う動物が前腸発酵動物で、小腸の後ろに位置する消化器官で発酵を行う動物が後腸発酵動物です。

ウシなどの前腸発酵動物では、腸の前で微生物による発酵を行って、その微生物の菌体タンパク質をアミノ酸源として吸収して利用します。

後腸発酵動物のウサギやネズミでは、小腸の後ろにある大腸で発酵するため大腸の微生物をタンパク源として吸収できません。

そのために、自分の出した大便を自分で食べる食糞を行い、タンパク質を確保しています。

後腸発酵動物のウマも、空腹時には食糞を行うこともありますが、通常は食糞はしません。

その代わりに大量に植物を食べることによって、植物に含まれるわずかなタンパク質からアミノ酸を確保しています。

そうなると植物に含まれる余分な糖質が身体に蓄積してしまうので、肥満を防ぐために一日中走ってカロリーを消費しなければいけません。

タンパク質を確保するために、過食と運動という戦略です。これは同時に、常に移動して肉食動物に捕食されるのを避ける生存戦略です。

同じ後腸発酵動物のヒトは、食糞を行いませんし、ウマのように過食・運動もしませんので、タンパク質の確保は食事から行うしかありません。

つまりこの点では、ヒトは草食動物ではなく肉食動物になります。