線維筋痛症
線維筋痛症(fibromyalgia)は慢性的な全身の激しい痛みを特徴とする疾患です。
痛みは一定ではなく、日によっても波があります。特に睡眠不足や精神的なストレス、過度の運動、天候によって症状が左右される傾向があることも特徴です。
遺伝的な要因、感染症、心理的・身体的なトラウマなどが誘因として指摘されていますが、確実な原因はこれまでのところ特定されていません。
中年女性に多く、現在人口の1.66%、約200万人の患者がいるのではないかと推測されています。
歴史的には19世紀末から報告が有りますが、1990年のアメリカリウマチ学会の診断基準で正式に認められ、現在もこれを用いて診断します。
指を用いた4kgの触診で、18の圧痛点のうち11箇所以上に疼痛を認めることとされています。
現在は日本では難病指定されていません。
線維筋痛症に対する根本的な治療方法は現在のところ存在しておらず、患者さんの症状に合わせて適宜鎮痛剤などが選択されることになります。
人体の鎮痛システムは、主に下降性疼痛抑制系(セロトニン作動性神経とノルアドレナリン作動性神経)と上行伝導路を抑制するオピオイド作動性神経です。
オピオイド鎮痛系にはドーパミン報酬系が密接に関係しており、糖質や甘味の過食と依存によって、ドーパミン報酬系やオピオイド作動系が疲弊して、鎮痛が出来なくなると言う仮説を立てています。
糖質過食により低タンパクになり、アミノ酸から作られるセロトニン系、ノルアドレナリン系、オピオイド系が作動しなくなります。
線維筋痛症に合併しやすい不眠、うつ、肥満との関連もこの理論で説明が可能です。
線維筋痛症に合併する頻度は、うつ病 (44.4%) と不安神経症 (27.3%) でした。少なくとも 1 つの精神疾患の発生率は 80.8%と報告されています。(2018, Gittins)
以上から、栄養面から考えた疼痛性疾患に対する治療は、糖質制限・高タンパク食となります。
栄養状態を最適化させて、身体の本来の「鎮痛システムの再起動」を目指します。
現代病の原因は、現代食、現代医療、現代の環境ですが、第二次世界大戦後に急増している疾患は現代医学と現代の環境(衛生仮説)に原因があり、それ以前に出現している疾患は現代食が原因と考えています。
栄養面から見た疼痛性疾患に対する治療法を記事に提案しましたが、線維筋痛症はこれだけでは解決が難しいのではないかとも考えています。
参考図書。
The FibroManual: A Complete Fibromyalgia Treatment Guide for You and Your Doctor.