<症例>突然はじまった慢性の下痢、ゲップ

30代の女性、会社員の方です。

ある年の夏にキャンプに1週間行きましたが、その時に軽い食あたりのような症状があったそうです。

その後、1ヶ月して慢性のゲップ、便秘、下痢、腹痛、腹部膨満感に悩まされるようになりました。

半年後ぐらいから、強い全身倦怠感、身体の痛み、脱力感で動けない日が増えてきました。

大学病院をはじめあらゆる病院を受診しましたが、原因は不明との結果でした。

不眠を主訴として来院されましたが、私の解答は以下です。

感染後過敏性腸症候群+SIBO+線維筋痛症+慢性疲労症候群として説明出来ると思います。

IBSは原因不明の下痢や便秘やガスが慢性的に続く消化器疾患ですが、細菌感染などの後に、自己免疫疾患(小腸に対する自己抗体を持つ)としてSIBOと同時に発病することが明らかにされています。

IBS、線維筋痛症、慢性疲労症候群、間質性膀胱炎は、オーバーラップすることが報告されており、背景にSIBOがあると言われています。

また、SIBOがあると二次的に腸カンジダ症になることが多いです。

小腸に対する自己抗体のために小腸の蠕動運動が低下するために、大腸の腸内細菌が逆流してSIBOになります。

①小腸内に増殖した細菌のエサになる食物を摂らないことが治療です。SIBO食または低FODMAP食です。長期的に継続する覚悟が必要です。SIBOの検査も可能ですが、高額検査なので検査をせずに、治療をされたら良いと思います。

②もうひとつは、間欠的ダイエット(1日2食)も大切です。朝食を抜いて、間食も抜いて、水分摂取は水にして、出来るだけ消化管を休ませる時間を確保することです。

小腸の蠕動運動は副交感神経が優位な時に起こります。食後に安静にしたり仮眠を取ることも良いと思います。

③可能なレベルで糖質制限食の併用を勧めます。痛みの症状が出ているので、糖質制限・高タンパク食で身体の鎮痛システムを再起動させます。

④腸カンジダ症を合併することがほとんどです。下手に抗生剤を飲まないことです。腸カンジダ症は、腸内フローラ検査では検出できません。尿有機酸検査で調べるのが一般的ですが、高額検査なので検査せずに治療する方も多いです。

⑤SIBO食で腸内環境が悪くなる場合があるので、排便の状況を見ながら高FODMAP食の食物繊維をある程度は摂って、快便を目刺してください。

⑥ミネラルバランスが崩れないようにすることも大事です。血液検査、オリゴスキャンを見ながらサプリやデトックスが必要かもしれません。

⑦腸の修復のために高タンパク食(WPIホエイプロテインやボーンブロス)、ビタミン、ミネラル摂取も大事になってきます。

⑧体内の炎症を抑えるためにオメガ3脂肪酸(魚油など)を積極的に摂取して、オメガ6脂肪酸(植物油)を控えてください。

追記として、その後はほとんど症状が見られなくなく回復されました。