果物の代謝について

血糖値の上がりやすさの指標であるGL値で比較すると、果物は穀物よりは血糖値は上がりにくくなっています。

果物は食物繊維を豊富に含んでいるので、それがバリヤとなり身体への吸収がゆっくりになります。

果糖(フルクトース)を代謝経路で見ると、グルコースになる経路とグリセロールから中性脂肪を作る2つの経路があります。

果糖(フルクトース)はグルコースよりも約10倍も糖化反応に使われやすいために、果糖そのものが体内に存在しないように優先的に代謝されます。

グルコースが十分に存在すると(血糖値が高くなると)、インスリンの作用でフルクトースから中性脂肪がより多く作られます。

また、フルクトースからグルコース作る経路は、糖新生の経路と共通であるために、フルクトースを摂っているとアミノ酸からの糖新生の経路が抑制されます。つまり、筋肉の分解が起きにくくなります。

以上から、果物を沢山摂りすぎると、脂肪と筋肉が両方付きやすくなります。

野生動物にとっては、理想的な栄養の取り方と言えるかもしれません。

人間で言えば、筋肉太り、固太りになりやすいです。

果物を摂らずに穀物などでブドウ糖を大量に摂る場合は、脂肪はあるが筋肉は少ない水太りになりやすくなります。

スポーツドリンクに果糖が含まれていたり、スポーツ選手が果物を積極的に摂る理由は、筋肉の分解を防ぎながら、血糖値スパイクを避けるのが目的です。

果物を摂取する適性量は、1日200gまでと言われています。(下図が200gの目安です)

果物を摂るならば、穀物などの他の糖質との合計量が多くならないように注意が必要です。

糖質としての合計摂取量がポイントです。

果物には食物繊維もファイトケミカルも含まれていますので、ご飯やパンと一緒に食べすぎない範囲で、ある程度は積極的に摂りたいと考えています。

果物の代謝のまとめ

1.果物(フルクトース)の代謝経路は2つで、ブドウ糖になるか中性脂肪になるかどちらかである。

2.フルクトースはグルコースより、優先的に代謝される。

3.フルクトースは、アミノ酸からの糖新生の経路を抑制する。

果物の食べ方

1.糖質(ご飯、パン、麵など)と同時に果物を摂取すると、果物分はそのまま中性脂肪になる。

2.果物と同時に食べる糖質の摂取量に注意が必要である。

3.液体でフルクトースを摂ることは原則良くないが、運動時は、液体でフルクトースを摂ることで、筋肉の分解を防ぐことが出来る。

4.果物も糖質制限の範囲内で考えて、量と質(糖度)に注意する。