SIBOによるブレインフォッグ
(この記事は慢性疲労に関する記事のため、いずれは内容の修正が必要ですが、そのままにしています)
ブレインフォッグ(Brain fog)とは、頭に霧がかかったようになり、頭が冴えない、集中出来ない状態のことです。明確な定義はなく、うつ病やADD/ADHDなど様々な疾患で見られる症状のひとつです。
頻度的に多いのは、糖質過食に伴って起きる①血糖値の乱高下による眠気と、②血糖値の上昇によってオレキシンが抑制されて眠気が生じることによるブレインフォッグと考えてます。
SIBOとは小腸内異常細菌増殖症のことで、本来は1万個程度しか存在しない腸内細菌(大腸には約100兆個)が、小腸内で異常に増殖した病態のことです。
SIBO、グルテン関連障害、過敏性腸症候群、腸カンジダ症、リーキーガット症候群は、それぞれが一部オーバーラップしていると言うより、ほぼ同義語と考えています。
2018年にRaoらは、SIBOでブレインフォグが起きるメカニズムを報告しています。
SIBOでは、乳酸産生菌の異常な発酵により、大量の乳酸が産生されて、乳酸アシドーシスとなり、その結果としてブレインフォッグが起こります。この際に激しい疲労感も同時に起こってきます。
またSIBOのある場合は、プロバイオティクスによって、小腸内の細菌増殖をさらに招き、乳酸の産生を増量して、ブレインフォッグを増悪させます。
SIBOの患者のプロバイオティクスを中止することによって、70%の患者でSIBOの症状を改善し、ブレインフォッグは85%の患者で改善されたことを報告しています。
SIBOの患者へのプロバイオティクスの投与は要注意です。
同じ理由で、SIBOの患者への発酵食品や水溶性食物繊維(プレバイオティクス)の投与も注意が必要です。
血液中に蓄積した乳酸の分解は、主に肝臓のコリ回路で行われます。
この代謝では、LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)で亜鉛とナイアシンが、グルコース -6-フォスファターゼでマグネシウムが必要です。
アシドーシスの補正のためには、体内のアルカリミネラルの中でも、特にマグネシウムが重要です。
SIBOによる乳酸アシドーシスを介する疲労のメカニズムは、激しい運動後の疲労やミトコンドリアの問題で起こる疲労と同じです。
疲労感の原因は、コリ回路がATP消費回路だからです。
SIBOによるブレインフォッグの治療のまとめ
1.プロバイオティクスを一旦中止する。食物繊維、発酵食品も見直しが必要です。
食事はSIBO食(低FODMAP食)が基本になります。
2.乳酸の分解のために、ビタミンB群、Mg、Znの摂取が必要です。