偏食と多食、孤食と共食

発達障害の方は、ほとんど例外なく偏食です。ARFID(Avoidant/Restrictive Food Intake Disorder)と言われています。(2019, Mayes)

人類の食文化を振り返ってみると、一日中歩き回って食料を探して、とにかく食べられるものを昆虫でも野草でも、選ばずに何でも食べてきました。

現代人の好きな物だけを選んで食べる食べ方とは真逆です。

多種類の食材を食べる多食(造語)と一部の食材にこだわってしまう偏食は反対の食べ方です。

遅延型食物アレルギーの治療法として、4daysローテーションと呼ばれる食べ方があります。

遅延型アレルギーの反応が出た食物を1回食べたらその後3日間は食べないようにする方法です。

タンパク質は小腸で完全に吸収出来るのが原則です。

SIBOなどで小腸に問題を抱えている方は、消化・吸収しにくいグルテンやカゼインなどのタンパク質を連続して摂ることによって、身体がそれを異物と見なして、免疫応答から炎症反応が起こって来ます。

タンパク質に限らず食物繊維も、出来るだけ多種類摂る方が良く、これが腸内フローラの多様性につながります。

この腸内フローラの多様性が、腸脳相関を通して、脳の情報処理、ストレス処理の柔軟性や切り替えに関連すると考えています。

自閉症における腸内フローラの多様性の少なさが、2019年のKangら2019年のMaらなどによって指摘されています。

多種類のタンパク質や食物繊維を摂ることが、発達障害のこだわり、頑固さ、対人関係の硬直化の改善へのヒントになります。

孤食とは、家族が居ても一人で食事をすることですが、発達特性のある方や摂食障害の方にこの傾向があることが知られています。

共食とは孤食の反対の意味で、家族などと一緒に食事を摂ることです。

2008年に千葉大学の花澤寿先生が、摂食障害と共食の関係を考察されています。

近年の摂食障害の増加の背景として、一般家庭における共食の衰退の関与を指摘されています。

共食とは保護や安心を与える養育的な意味があるので、共食の衰退が子供の精神的発達に影響を与える可能性を危惧されています。

欧米では、週末になると近所の人が一品料理を持ち合ってホームパーティを行う習慣があります。

これも人類の共食の習慣の名残りだと思います。

出来るだけ家族や親しい人と一緒に、多種類のタンパク質や野菜、果物を摂取する「多食かつ共食」の機会を持つ生活が理想です。