イヌイットに自閉症はいない
2006年の国際会議での報告では、過去15年間でイヌイットの子供に自閉症はいません。
また1997年にHemmelgarnらは、大人と子供(31.9%)の喫煙が一般的であるのにも関わらず、イヌイットの子供にアトピーと喘息が稀であることを報告しています。
アメリカで自給自足の生活を送るアーミッシュと呼ばれる宗教集団に自閉症がほとんど居ないことが知られています。ワクチンを摂取していない、テレビ やインターネットを持っていない。農業や酪農を営んでおり、加工食品などの現代食の摂取が少ないことが関係すると推測されています。(2006年のWaldmanら、2015年のKandaswamy)
■自閉症の発病と都市性
2010年にLauritsenらは、デンマークでの大規模な研究(約80万人を対象、自閉症は4000人)で、出生時および小児期の都市性レベルと自閉症の発病との相関が報告されています。
2006年にPalmerらは、米国で自閉症の発病と都市化の関係があり、原因として水銀による環境汚染との関係を指摘しています。
1982年に星野らは、日本の福島県で都市部での発病が地方より多いことを報告しています。
■自閉症は急速に増加している?
近い将来、子供の2人に1人が自閉症になるという予想があります。
2025年に、2032年には子供の2人に1人が自閉症と診断されるという話です。
2006年にPalmerらは、アメリカのテキサス州の研究で、自閉症の増加と水銀への低レベルの暴露の関係を指摘しています。
2014年にNevisonらは、米国での自閉症の増加は診断基準の変化では無く、実際の増加であること考察しています。この増加は1980年代後半から始まっていますが、この期間に上位10種類の有害化合物の子供への暴露は、横ばいか減少していることを報告しています。
■自閉症が増加した主な原因は、「認知が広まったことが原因である」という論文が多数ある?
2015年にHansenらは、デンマークの研究で、これまで自閉症の増加を定量的に研究した論文はないとして、認知の広まりが自閉症が増加の原因であると指摘しています。
2011年にMatsonら、2014年にSelmaldringら、2013年にDawsonら、2012年にRiceらが同様の報告をしてます。
■炭水化物をほとんど食べていないイヌイットの腸内フローラ
2017年にGirardらは、狩猟採集民族は、一般的に腸内フローラの多様性が高いことが報告されていますが、イヌイットの多様性は欧米人と同じであることを報告しました。
これは食物繊維の摂取量が多様性と相関することから、イヌイットと欧米人の食物繊維の摂取量が1日約15gと同じレベルであることが原因であると考察しています。
(腸内フローラの解析が出来るようになったのは、2008年以降なので本物の昔のイヌイットの腸内フローラは解析できません)
タンパク質を取るほど、腸内フローラの多様性が上がることが報告されています。
まとめ:自閉症の増加の原因として都市化や現代化が関係している。
現代病を回避するためには、野生への回帰が鍵になりますが、野菜だけでなくタンパク質の摂取も重要であると考えています。