プレボテラ属と食事

まとめ:プレボテラ属は食物繊維と糖質の両方に反応して増加するために、肥満にも痩せにも、病気にも健康にも複雑に関係しています。

(食物繊維<糖質であれば肥満に、食物繊維>糖質であれば痩せに傾きます)

食事とプレボテラ属との関係については沢山の論文が出ており、食事療法のバイオマーカーになる可能性があります。

2011年にWuらは、10日間の食事パターンで腸内細菌叢が顕著に変化することを報告しました。

バクテロイデス属がタンパク質、脂肪に反応して、プレボテラ属が炭水化物(糖質、食物繊維)に反応して有意に増えることを報告しています。

3大栄養素も、小腸で完全に吸収されるのではなく、大腸に到達して腸内細菌叢を大きく変化させます。

ヒトの腸内細菌叢は属レベルでは、バクテロイデス属が多いタイプとプレボテラ属が多い2つのタイプに分ける方法があります。

2010年にFippoらは、西洋型食生活のヨーロッパと農村型食生活アフリカの子供の腸内細菌叢を比較して、ヨーロッパではバクテロイデス属が多く(23%)、アフリカではプレボテラ属が多い(53%)ことを報告しました。

2014年にLimらは、健康な韓国人の腸内細菌叢が、バクテロイデス属が多いタイプとプレボテラ属が多いタイプに分けることが出来て、後者は食物繊維、ビタミン、ミネラルが多い食事と関係することを報告しました。タンパク質と脂質の摂取は、この2つのタイプと相関しないことも指摘しています。

2019年にKashtanovaらは、肥満とプレボテラ属の増加との関係を指摘しています。プレボテラ属と脂肪肝との関係も指摘されています。

2019年にStanislawskiらは、肥満と腸内細菌叢について、アルファ多様性の低下とプレボテラ属の増加を報告しました。食物繊維の摂取は少ないがプレボテラ属を多く持つ人は肥満になり、食物繊維の摂取は少ないがプレボテラ属を多く持つ人は痩せ形になることを指摘しています。

プレボテラは、健康と病気の両方に関連している複雑な属であり、複雑な方法で食事と相互作用することを考察しています。

プレボテラ属は食物繊維と糖質の両方に反応して増加するために、肥満にも痩せにも関係しています。

2019年にAlpizar-Rodriguezらは、関節リウマチ患者でプレボテラ属が増えていることを報告しています。

2019年にHjorthらは、プレボテラ属に対するバクテロイデス属の比率が低い人は、高線維食によるダイエット効果を受けやすいことを報告しています。2015年にKovatcheva-Datcharyらも同様の報告をしています。

プレボテラ属が少ない人は、食物繊維と糖質が少ないことを示唆しています。食物繊維を増やすことで、食物繊維によるダイエット効果を受けることが出来ます。