腸内フローラの太りやすさ指標は使えない?

まとめ:腸内フローラの太りやすさ指標F/B比)は、よくわからない指標です。

生物は、基本的に「ドメイン-界-門-綱-目-科-属-種」という順で階層的に分類されます。わかりやすくヒトで例えると、「真核生物-動物界-脊索(せきさく)動物門-哺乳綱-霊長目-ヒト科-ヒト属(ホモ)-サピエンス」となります。
1000種類以上あるといわれるヒトの腸内細菌も、この階層で分類することができ、その99%以上が、ファーミキューテス、バクテロイデス、プロテオバクテリア、アクチノバクテリアの4つの「門」に属します。

最も優勢な門は、50~70%を占めるファーミキューテス門で、20~30%のバクテロイデス門、10%のプロテオバクテリア門、10%弱のアクチノバクテリア門が主な構成因子です(上図)。

このファーミキューテス門とバクテロイデス門の比率のF / B比は、太りやすさ指標と言われており、F / B比が高い人は肥満、F / B比が低い人は痩せていると言われていました。

2017年にKoliadaらは、61人のウクライナ人の大人でF / B比はBMIと有意に相関することを報告しました。

2013年にSweeneyらは、肥満手術によって体重が減ると、F / B比が低下することを総論でまとめました。

2018年にIndianiらは、小児肥満とF / B比との相関を報告しています。

2008年にDuncanらは、肥満とF / B比との相関を認めないことを報告しています。

2009年にSchwiertzらは、肥満とF / B比との逆相関を報告しています。

2020年にMagneらは、これまでの論文を総括して、F / B比を肥満のマーカーにすることは困難であると結論付けています。