パーキンソン病は便秘から始まる
パーキンソン病は、ほとんどの難病が報告されはじめた19世紀の1817年に最初に報告されました。パーキンソン病では、発病する約20年前から便秘が始まります。原因は完全には解明されていませんが、初期に食道・大腸の粘膜下筋層に分布する神経叢にα-シヌクレイン(レビー小体の構成タンパク質)が蓄積して、この蓄積が迷走神経を逆行して、迷走神経背側核に至り、中脳を経て全脳性に広がるというBraakの仮説が徐々に証明されつつあります。この仮説がパーキンソン病に便秘が先行する理由です。パーキンソン病とレビー小体型認知症の違いは、α-シヌクレインの蓄積が末梢神経から進行性に起こるのがパーキンソン病であり、この蓄積が中枢神経に起こるのがレビー小体型認知症です。パーキンソン病、パーキンソン病に伴う認知症、レビー小体型認知症などは、病理学的にα-シヌクレインの蓄積を特徴とするスペクトラムと考えられています。自然科学に境界はありません。2020年にSequellaらは、パーキンソン病が、腸内フローラの乱れから、リーキーガットとなり、腸内グリア細胞の活性化によって起こるという仮説を提唱しています。
1800年以降の食事革命と同時期から出現してきたほとんどの難病は、リーキーガットに根源にあるのではないでしょうか。古代ギリシアの名医として有名なヒポクラテスも「すべての病は腸からはじまる」という言葉を残しています。
レビー小体型認知症は、パーキンソン病の病態に脳血液関門の破綻が同時に加わって、ダイレクトに中枢神経系に問題を起こしたのではないかと考えています。