短鎖脂肪酸の役割

まとめ:野菜や果物をしっかり食べると生体機能全般への効果が期待出来ます。

腸内細菌叢が食物繊維をエサにして作る短鎖脂肪酸は、分解されてエネルギー源となるだけでなく、レセプターを介して、神経伝達物質と同様に沢山の生理作用を発揮します。

■短鎖脂肪酸は、β酸化されてATPを産生してエネルギー源となります。

酪酸が大腸上皮細胞のエネルギー源として働いて、大腸の蠕動運動を促して、便秘を解消させます。

酢酸とプロビオン酸は、ホストの全身のエネルギー源となります。

■抗肥満作用を発揮して、体重が減少させます。これが野菜・果物を食べると痩せる理由です。

酢酸、プロビオン酸はGPR43(短鎖脂肪酸受容体のひとつ、脂肪細胞、免疫系組織に高分布)に作用して、脂肪細胞の脂肪酸とブドウ糖の取り込みを抑制します。

酪酸、プロビオン酸はGPR41(短鎖脂肪酸受容体のひとつ、交換神経節に高分布)に作用して、交感神経の活性を高めて、エネルギー消費を亢進させます。

腸管のL細胞にある短鎖脂肪酸受容体であるGRP43/GRP41に作用して、GLP-1およびPYYの分泌を促進させて、食欲を抑制します。

■リーキガットを修復・予防します。

短鎖脂肪酸は腸管のL細胞を介して、腸管上皮増殖促進因子(グリセンチン)およびGLP-2を分泌させて、腸粘膜を増殖させて大腸・小腸粘膜を保護します。

■結腸癌に対する発癌抑制作用を発揮します。

酪酸は短鎖脂肪酸受容体であるGRP109Aに対して内因性アゴニストとして働き、抗炎症作用と発癌抑制作用を発揮します。(2014年のSinghら)

(GRP109Aの薬理学的アゴニストはナイアシンです)

■抗炎症作用および自己免疫疾患を改善させます。これがWahls protocolなどの理論的根拠です。

短鎖脂肪酸が大腸のGPR43を介して、Treg細胞を誘導して免疫寛容を促進して、大腸において抗炎症作用を発揮します。(2013年のSmithら)

短鎖脂肪酸が、ヒトTreg機能を調整して、自己免疫疾患を改善させることが示唆されています。(2015年のBuntiaら)

■抗うつ作用、抗不安作用を発揮して、ストレス耐性を上げます。

腸内細菌が食物繊維をエサにして作る短鎖脂肪酸は、自律神経や神経伝達物質と同様に、脳腸相関における双方向性ネットワークの担い手です。