CGRP(カルシトニン関連遺伝子ペプチド)

CGRP(カルシトニン関連遺伝子ペプチド)は、カルシトニンと同一の遺伝子からスプライシングの違い(選択的スプライシング)によって、作られるペプチドホルモンで、強力な血管拡張作用、抗不安、抗うつ作用を持つことが知られています。

カルシトニン

カルシトニンはアミノ酸32塩基のペプチドホルモンで、血中のカルシウム濃度の上昇により、主に甲状腺から分泌が促進され、カルシウム濃度が低下すると分泌が抑制されます。血中のカルシウム濃度をコントロールしています。

選択的スプライシング

同じ遺伝子から、読み取り方を変えることによって、複数のmRNAを作ることです。カルシトニンとCGRPの遺伝子のCT/CGRPは6個のエクソンから構成される共通の遺伝子にコードされていますが、組織特異的なスプライシングにより、甲状腺C細胞ではCTmRNA(エクソン1-4)が、神経組織ではCGRPmRNA(エクソン1-3,5-6)が産生されます。

心血管系は交感神経の作用で収縮・緊張する一方で、それに相反する作用として拡張・弛緩させるものとしてCGRPが上げられています。

疾患との関連では、偏頭痛(片頭痛)とCGRPの関連が指摘されています。

偏頭痛の原因は完全には解明されていませんが、収縮した血管が拡張していく際に頭痛が起こる説が有力で、この拡張に史上最強の血管拡張作用を持つCGRPが関与していると考えられています。

このCGRPの作用をブロックする、CGRP拮抗薬やCGRPモノクローナル抗体が製品化されつつあります。

偏頭痛のメカニズムを考えてみると、「血管が収縮する病態」が存在しており、それを回復させるために血管を拡張させるCGRPなどが分泌されています。

根治療法的には「血管が収縮する病態」にならないようにすることです。

そのためには、現代人によくみられる低マグネシウム血症にならないことや、血管を収縮させる食品添加物などの摂取を控えることが基本です。

生物は海から生まれ、もともとは海水に含まれるマグネシウムを経皮的に吸収して、体内のマグネシウムを維持していました。

エプソムソルトなどでマグネシウムを補給することが、根治療法的な偏頭痛の治療です。