男性の女性化乳房
女性化乳房とは、男性の体内にも存在する卵胞ホルモンのエストロゲンが高くなり、男性の乳腺組織が肥大化することです。ほとんどのケースは良性で自然に改善しますが、高齢の方の場合は男性乳がんとの鑑別が必要です。
思春期(15歳前後)や高齢期(60歳~)では男性ホルモンの割合が急速に高まりますが、その時に男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れて、一時的に乳房が腫れることがあります。これが最も多いケースで、通常は自然に寛解します。
利尿剤(スピロノラクトン)や降圧剤、胃潰瘍の薬など、様々な薬の副作用で女性化乳房が起こることが報告されています。
男性の体内にも存在するエストロゲンは肝臓で分解・不活化されます。肝硬変などで、肝機能が落ちている場合には、エストロゲンの分解が進まず蓄積するため女性化乳房になることがあります。
ステロイドホルモンの代謝を見ると、男性ホルモンはアロマターゼによって卵胞ホルモン(エストロゲン)に代謝されます。
女性化乳房の薬物療法として、このアロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤によって、女性ホルモンの合成を阻害する方法があります。
また抗エストロゲン剤であるタモキシフェンや、抗ゴナドトロピン作用を持ちFSHとLHを抑制してエストロゲンの産生を抑制するダナゾールを使用する方法もあります。
女性化乳房の栄養療法
男性ホルモンを優位にするために、筋力トレーニングが有効であること報告されています。(2010年、Vingrenら)また持続性トレーニングが逆効果になることが報告されています。(2005年、Hackneyら)
性腺や脂肪細胞に、テストステロンをエストラジオールに変換するアロマターゼという酵素が存在しており、体重を減らすとテストステロン値が上昇する可能性があります。(2011年、Hakonsenら)
つまり、脂肪を減らして、筋肉を増やす運動や食事で改善できる可能性があります。
ビタミンAの補給は、血漿中のテストステロン値の上昇させる可能性があります。(2002年、Liveraら)
ビタミンDの補給は、400 - 1000IU/d(10 - 25μg/d)でテストステロン値を上昇させる可能性があります。(2010年、Pilzら)
ホウ素の補給はテストステロン値を上昇させる可能性があります。(1997年、Naghiiら)
亜鉛の補給はテストステロン値を上昇させる可能性があります。(1996年、Prasadら)
亜鉛の不足していない人に、亜鉛のサプリを投与してもテストステロンレベルは変化しないことが報告されています。(2007年、Koehlerら)