パーキンソン病と本態性振戦
ふるえを主訴とする疾患としては、パーキンソン病と本態性振戦があります。
パーキンソン病は、ほとんどの難病が報告されはじめた19世紀の1817年に最初に報告されました。本態性振戦がはじめて記載されたのは1874年です。(2008年、Louisら)
鑑別方法は、①パーキンソン病では症状の左右差がありますが、本態性振戦ではありません。
②パーキンソン病は安静時に手が震えが増えますが、動作時には減ります。(安静時振戦)一方、本態性振戦は反対で、食事や書字に問題が生じるのが本態性振戦です。(姿勢振戦)
③パーキンソン病には首と声の震えはありませんが、本態性振戦にはあります。
④「歩行障害」「動作緩慢」はパーキンソン病にはありますが、本態性振戦にはありません。
⑤家族歴はパーキンソン病にはありませんが、本態性振戦にはあります。
⑥本態性振戦は飲酒で軽減する特徴があります。
⑦パーキンソン病は進行性ですが、本態性振戦は非進行性です。
どちらも、高齢になるほど発症率および有病率は増加していく加齢性疾患(age-related disease)です。
⑧パーキンソン病は1000人に1人の珍しい疾患ですが、本態性振戦は人口の2%に発症する頻度の高い疾患です。
(1995年のJankovicら、2018年のTarakadら)
書痙では、字を書くときにだけに振戦が出て、手を使う他の作業では振戦があまりでなくなります。書痙の病因は明らかにされておらず、本体性振戦の一種、ジストニアに一種、遺伝性の振戦の3つの説があります。(2016年、Louis)
現在の本態性振戦の治療パラダイムは以下です。(2018年の中村)