アルツハイマー病とインスリン抵抗性

2021年12月19日

2型糖尿病があると、アルツハイマー病発症のリスクが2倍となることは広く知られています。

その背景にあるメカニズムは、インスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性です。

このインスリン抵抗性が高くなるメカニズムとしては、①インスリンシグナル伝達の障害、②インスリンとアミロイドβタンパク質を両方分解するインスリン分解酵素(IDE、insulin-degrating enzyme)の競合、③過剰なリン酸化されたタウ蛋白の蓄積が神経変性を促進させる、④タウ蛋白によるインスリンシグナル伝達の障害、⑤空腹時インスリンレベルの異常などが考えられており、これらが複雑に組み合わさって、病状が進行していきます。(2018年、Benedictら

アルツハイマー病では、病理的にベーターアミロイドとタウ蛋白と呼ばれる蛋白質のゴミが脳の中に貯まり、これが神経変性を促進させます。

空腹時のインスリンレベルは2型糖尿病で見られるように高くても、また反対に低くてもアルツハイマー病のリスクが高くなります。(2004年のPeilaら

インスリンのレベルが低いと、インスリン分解酵素のレベルが低下し、その結果、アミロイドβ沈着が増加します。

低インスリンとなる1型糖尿病においても認知障害は、一般集団よりも1型糖尿病患者に多く見られることが認識されています。(2008年のBiesselsら1985年のRyanら

アルツハイマー病では進行するにつれて、インスリン抵抗性が徐々に強くなり、グルコースが利用出来ないために、グルコース以外のケトン体などを利用する生体エネルギーシフトが起こってきます。(2017年、Nethら

そのために脂肪が燃焼して、アルツハイマー病が進行すると体重が減少することが知られています。(1998年、Whiteら