ポリオール経路

グルコースの主要な代謝経路は5つあります。

糖尿病による高血糖では、グルコースが大量に存在するために迂回経路のポリオール経路が活性化します。

ポリオール経路では、グルコースがソルビトールになる際に虎の子のNADPHが消費され、酸化ストレスが増えます。

ソルビトールから作られるフルクトースが糖化(グリケーション)に繋がり、最終的には最終糖化産物(AGEs)が増えます。

糖化(グリケーション)はタンパク質や資質に糖質が結合することですが、糖が開鎖状態にある時のみに起こります。

5環構造のフルクトースは6環のグルコースに比べて300倍の開鎖率のため糖化を容易に起こします。

フルクトースは適量であれば、小腸フルクトース代謝で優先的に処理されますので、適量の果物は問題ありません。

大量のフルクトースをHFCSなどで摂ると、キャパオーバーして酸化ストレスとなります。

NADPHの消費により、グルタチオン、ビタミンC、Eのリサイクルが出来なくなり、体内の酸化ストレスが増大します。

また、重要な血管拡張因子である一酸化窒素(NO)が減少することにより、高血圧に繋がります。

ほとんどの細胞はグルコースを細胞内へと取り込むためにインスリンの作用を必要するのに対して、網膜、腎臓、神経組織の細胞はインスリン非依存性であり、グルコースはインスリンの作用に関係なく細胞膜を自由に通過できます。このために、インスリン抵抗性で守ることが出来ない組織でポリオール経路がより活性化するために、糖尿病の三大合併症の網膜症、腎症、神経障害となります。

インスリン抵抗性が問題視されていますが、糖毒によりポリオール経路が活性化して酸化ストレスによる組織のダメージを防ぐために、インスリン抵抗性が生じてきます。糖質の過剰摂取が一次的な問題で、その悪影響を緩和するためにインスリン抵抗性が出現します。

過剰なグルコースを処理するために活性化される分岐経路としては、ポリオール経路を含めて5つの代替経路があります。これらはすべて活性酸素の生成に関連しているため、酸化ストレスをさらに増やします。(2014年、Yan