アルコールとビタミン・ミネラル欠乏

2022年3月30日

まとめ:アルコールの慢性摂取では、ビタミンB1、B3、葉酸、マグネシウム、亜鉛などの欠乏が起こります。

アルコールの摂取によって、ビタミンB1(チアミン)欠乏によるウエルニッケ・コルサコフ症候群や、稀にビタミンB3欠乏によるペラグラを起こすことがあります。(1998年、Cookら

適量のアルコールは、アルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素によって酢酸に分解されて、TCA回路に入ります。

大量の飲酒を継続すると、チトクロームP4502E1(CYP2E1)が誘導されて、この別経路でも代謝されます。これが、お酒がだんだん飲めるようになる現象です。

一方で、このCYP2E1でビタミンB1が大量消費されて、ビタミンB1欠乏が起こってきます。

CYP2E1は、数日の休肝日で活性が下がり、1週間で元のレベルまで下がります。

慢性アルコール依存症では、葉酸欠乏が80%に合併することが報告されています。これは、食事による葉酸摂取量の減少、腸の吸収不良、肝臓の摂取と貯蔵の減少、および尿中葉酸排泄の増加の結果です。(2013年、Mediciら

慢性アルコール依存症では、通常はビタミンB12欠乏は起きません。

ビタミンB12と葉酸は、メチレーション回路でDNA合成に関与しています。これらの欠乏でDNA合成障害が起きて、造血に問題が起こり大球性貧血になります。またメチレーション回路で、ビタミンB12と葉酸は活性化とリサイクルを繰り返しており、どちらか片方が欠乏すると、両方の問題が起こってきます。ほとんどのビタミンB12欠乏症状は実際には葉酸欠乏症状であることが知られています。

慢性的なアルコール使用障害では、尿中排泄の増加などによりマグネシウム欠乏が一般的であることが報告されています。(2021年、Vanoniら

慢性的なアルコール使用障害での亜鉛欠乏(2017年、Skalnyら)や、アルコールによる下痢性疾患による亜鉛欠乏が指摘されています。(2009年、Tuerkら

慢性的なアルコール使用障害では、低カリウム血症、低ナトリウム血症、低カルシウム血症、低リン血症などの電解質障害に関連することが報告されています。(2017年、Palmerら