ME/CFSの栄養療法
まとめ:ME/CFSの栄養療法(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)としては、ミトコンドリアをサポートするナイアシンアミド、カルニチン、タウリン、などの有効性が指摘されています。新型コロナ後遺症、新型コロナワクチン後遺症も似た病態なので、同じ治療が期待できます。
ME/CFSに対する栄養療法の総論が出されています。(2021, Wiegel)(2019, Bjørklund)(2010, Porter)(2021, Maksoud)(2022, Kavyani)
ME/CFSに対して、カロリー制限、断食、ケトジェニックダイエットの有効性が考察されています。(2015, Craig)
ME/CFS患者のPEMが、ケトジェニックダイエットで改善する可能性が指摘されています。(2019, Cossington)
ME/CFSでは、食欲不振や衰弱に伴う重度の栄養失調が懸念されています。(2021, Boxer)
慢性疲労症候群に対して、抗酸化サプリであるグルタチオン、N-アセチルシステイン、α-リポ酸、オリゴメリック プロアントシアニジン、イチョウ、およびスノキ (ビルベリー) が有益である可能性が指摘されています。(2001, Logan)
コエンザイムQ10とNADHの同時投与によって、ME/CFSの疲労と睡眠が改善することが報告されています。(2021, Castro-Marrero)
CoQ10とセレンを組み合わせた長期的な補給は、ME/CFSで潜在的に有益な相乗効果を示す可能性が指摘されています。(2022, Castro-Marrero)
日本の小規模比較試験で、12 週間のコエンザイムQ10の補給がいくつかの慢性疲労症候群の改善に有効であることを示唆されています(2016, Fukuda)
オーストラリアのME/CFS患者の24人に対して、サプリメントの有効性を評価した結果では、ビタミン C 、ハーブサプリメント、飽和脂肪、総葉酸、カルシウムは有効であった。一方で、月見草油サプリメント、α-リノレン酸 、長鎖オメガ 3 脂肪酸、ヨウ素は悪化させたことが報告されています。(2022, Weigel)
慢性疲労症候群の病態生理におけるミネラルとビタミンの補給の効果的な役割について有望な仮説を提供するデータはまだほとんどないと結論付けています。この分析によると、ビタミンAとビタミンEは、さらなる検討が必要な有望なビタミンと追記しています。(2019, Bjørklund)
ME/CFSに関する60件の論文のレビューで、マグネシウム、 L-カルニチン、 S-アデノシルメチオニンは、さらなる研究の可能性が最も高い非薬理学的サプリメントであることが指摘されています。(2010, Porter)
9件の論文のレビューの目的は、ミトコンドリアに基づく栄養補助食品介入については結論が出せないと総括しています。(2021, Maksoud)
L -カルニチンはコリンに構造的に類似したトリメチル化アミノ酸であり、長鎖遊離脂肪酸をアシルカルニチンに変換するための補因子として必要です。それらをミトコンドリアマトリックスに転送します。食事によるL-カルニチンの補給は、細胞のエネルギー代謝と筋肉の再生に関連するメカニズムに有益な効果をもたらすことに成功しています. がんや多発性硬化症などの疾患による疲労回復に効果があることが実証されていることから、COVID-19による疲労回復の選択肢としても考えられます。(2022, Vaziri-Harami)
タウリンは運動疲労時に筋肉で枯渇して(2006, Hamilton)、運動後の疲労回復にタウリンの有効性が指摘されています。(2017, Takahashi)
CFS患者の血漿中に低濃度で存在することがすでに判明しているタウリン(2007, Niblett)は、症状緩和の可能性があるため、多くの ME/CFS患者によって栄養補助食品として使用されていますが、厳密な研究ではまだその有効性が証明されていません。タウリンは骨格筋、網膜、中枢神経系で多くの機能を持ち、その濃度は、ME/CFS患者で観察された脂質代謝化合物の量の変化に関連している可能性があります。タウリンは胆汁酸と結合して、消化中の適切な脂質吸収に必要な胆汁塩を形成しますが、胆汁酸生合成経路はME/CFS患者では悪影響を受けることから、タウリン補給の有効性が期待できます。(2017, Germain)
CFS患者では、血清ビタミンDレベルが低いことが報告されています。(2009, Berkovitz)
ME/CFSでは、健常者に比べて過敏性腸症候群が有意(61.7%)に合併することが報告されています。(2014, Maes)
ME/CFSでは腸内フローラに問題があり(2021, Varesi)、糞便移植によって大幅に症状が改善することが報告されています。(2019, Kenyon)