目の栄養
まとめ:目の栄養については、高タンパク・糖質制限、抗酸化物質であるビタミンC、E、カロテノイド(ルテイン、ゼアキサンチン、β-カロテン)、抗酸化ミネラルの亜鉛とセレン、その他にクロム、ビタミンDの重要性が指摘されています。
■ルテインとゼアキサンチン
網膜と水晶体を保護するための 2 つのカロテノイド、ルテインとゼアキサンチンの役割が考慮されています。これらのカロテノイド(自然界に見られる天然色素)は、黄斑と呼ばれる網膜の中心に蓄積し、黄斑色素として知られています。それらの抗酸化特性に加えて、青色光や紫外線の光毒性効果に対するフィルターとして機能します。(2006, Whitehead)(2000, Moeller)(2013, Adams)

網膜は、特に光への曝露と高い代謝活性により、部位内での活性酸素種の産生レベルが高いため、酸化ストレスの影響を特に受けやすいことが知られています。(2000, Beatty)
白内障に対して抗酸化物質である、ビタミンC(2016, Wei)、ビタミンE(2015, Zhang)、ルテインやゼアキサンチンやβ-カロテンのカロテノイド(2019, Jiang)の有効性が、レビューで指摘されています。
イエローフーズと言われる卵黄、イエローコーン、イエローピーマンなどは、最も豊富なルテインとゼアキサンチンの供給源です。(2013, Adams)
ビタミンAの元になるβ-カロテンは、レバーの摂取が最も有効です。
■食事とその他のビタミン、ミネラル
野菜と果物の摂取が加齢に伴う眼疾患に対して有効であることが報告されています。(2022, Cirone)
特にほうれん草、ブロッコリー、卵などの特定のキサントフィル(ルテインとゼアキサンチン)が豊富な食品によって、白内障 (最大 20%) および加齢性黄斑変性症 (最大 40%) のリスクが大幅に減少することが総括されています。(2000, Moeller)
果物、野菜、豆類、魚などの健康的で栄養豊富な食品を豊富に含む地中海式食事法の遵守率が高いほど、進行性加齢黄斑変性症の発生リスクが下がることが報告されています。(2019, Merle)
白内障、緑内障、糖尿病性網膜症、黄斑変性症などの加齢に伴う眼疾患の治療に使用される植物抽出物に注目が集まっています。いくつかのポリフェノール (アントシアニン、イチョウ、ケルセチン、レスベラ トロールなど) とカロテノイド (ルテイン、ゼアキサンチン、メゾキサンチンなど) は、予防および治療上の利点が指摘されています。(2019. Bungau)
主に高脂肪乳製品、バターまたはマーガリン、肉汁、加工肉と赤身肉、卵、お菓子とデザート、エネルギードリンク、精製穀物、フライドポテトで構成される「西洋式食事」に対して、主に野菜、マメ科植物、米、全粒穀物、果物、トマト、緑の葉物野菜、低脂肪の乳製品、魚、魚介類で構成される、いわゆる「東洋の」食生活は、加齢性黄斑変性症に保護的に働くことが報告されています。(2014, Chiu)
動物実験で高血糖食を与えられたマウスが黄斑変性症のリスクが上がることが指摘されています。(2017, Rowan)
抗酸化ミネラル (セレンと亜鉛) が豊富な食事をとっている個人は、加齢黄斑変性症を発症する可能性が低いことが指摘されています。(2014, Zampatti)
ビタミンD欠乏とと加齢性黄斑変性症の関連が総括されています。(2017, Lanaya)
加齢性黄斑変性症と食事および栄養素の関係が総括されています。(2018, Rinninella)
加齢性黄斑変性症の患者では血液中のクロムが低下しており、有害ミネラルのバリウムとカドミウムが上昇していることが指摘されています。(2020, Heesterbeek)
過度のアルコール摂取 (1日に3杯以上)は、加齢性黄斑変性症のリスク増加と関連することが指摘されています。(2008, Chong)
喫煙が黄斑変性症の原因のひとつと考えられています。(2003, Kelly)
加齢性黄斑変性症に対しては、ビタミンC、E、ベータカロチン、亜鉛、ルテイン/ゼアキサンチンなどのサプリメントを摂取の有効性が指摘されています。一方でオメガ3脂肪酸のサプリの有効性は不明です。(2017, Cameiro)
喫煙と肥満は加齢性黄斑変性症の危険因子として特定されています。オメガ3脂肪酸、黄斑キサントフィル(ルテインおよびゼアキサンチン)の摂取量が多いと、加齢性黄斑変性症の有病率および発症率が低下することが示されています。ビタミンB群、クコ
の実、イチョウの実、ベリー類のアントシアニン抽出物も熱心な研究対象でしたが、科学的根拠はまだ確立されていません。加齢性眼疾患研究(AREDS)は、ビタミンC、E、ベータカロチン、亜鉛、銅を配合したAREDS製剤が、中等度AMDまたは片眼が進行加齢性黄斑変性症の患者における進行加齢性黄斑変性症への進行リスクを低減する上で有益な効果を示した唯一の大規模ランダム化比較臨床試験です。(2013, Sin)
十分な量のオメガ3脂肪酸(週2回の魚など)の維持、または低グリセミック指数食は、特に早期加齢性黄斑変性症に有益であり、カロテノイド(ルテイン:黄斑色素の主要成分。緑黄色野菜(ホウレン草、ケール)に豊富。ゼアキサンチン:ルテインと共に黄斑色素を構成。クコの実やパプリカに多い。β-カロテン:ビタミンAの前駆体。ニンジンやカボチャに含まれるが、加齢性黄斑変性症向けサプリでは控えめに(喫煙者で肺がんリスクが懸念されるため))の摂取量が多いと、おそらく血管新生加齢性黄斑変性症の予防に効果があることが示唆されている。(2012, Werkel)
加齢性黄斑変性症の患者では、血漿グルタチオンが有意に低く、血漿ホモシステインが高く、ビタミンB12が低下していることが指摘されています。(1998, Samiec)(2015, Houng)
後期の加齢性黄斑変性症の患者は、健常な対照群と比較して、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、葉酸および野菜の摂取量が少なく、亜鉛の摂取量が多いことが報告されています。(Gopinath B, Liew G, Russell J, Cosatto V, Burlutsky G, Mitchell P. Intake of key micronutrients and food groups in patients with late-stage age-related macular degeneration compared with agesex-matched controls. Br J Ophthalmol. )