筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の診断

(2020年6月4日の記事を加筆訂正しました。)

まとめ:ME/CFSの診断のポイントは、PEM、非回復睡眠、うつ症状、POTSです。

慢性疲労症候群は、長期におよぶ疲労を主症状とする症候群で、1988年にアメリカで病名として認められました。

3割を占める重症者は、ほぼ寝たきりの状態です。

正式な病名は、現在は筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS, Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome)に改名されています。

2015年に米国疾患管理予防センターから診断基準が出ています。

ME/CFSの診断には3つの中核症状の全てと、2つの追加症状のうちの少なくとも1つを満たすことが必要であるとされています。

ME/CFSの3つの中核症状

  1. 活動レベルの大幅な低下
    仕事、学習などの社会的生活や、日常生活における活動レベルが発症前と比べて著しく低下した状態が6ヶ月以上継続し、以下のような疲労を伴う。
    ①しばしば深い疲労
    ②新規発症の疲労(生涯続くとは限らない)
    ③継続的、または激しい活動の後でなくとも起きる
    ④安静にしていてもあまり軽減されない
  2. 労作後倦怠感(PEM)
    発症前なら問題なかった身体的、精神的、感情的な労作後に症状が悪化する。PEMはしばしば病気を再発させる。
    患者によっては、感覚刺激過剰(光や音)がPEMを誘発することもある。
    症状は通常、活動または曝露の12〜48時間後に悪化し、数日から数週間続くこともある。
  3. 疲れが取れない睡眠(非回復睡眠)
    ME/CFS 患者は、客観的な睡眠の変化がないにもかかわらず、一晩中眠った後でも気分が良くならない、または疲れが取れないことがある。

さらに以下の2つの追加症状のうち、少なくとも1つが存在する必要があります。

  1. 認知機能障害
    患者には、思考、記憶、実行機能、情報処理に問題があり、注意欠如や精神運動機能の障害もある。
    これらは、労作、努力、長時間の直立姿勢、ストレス、時間的プレッシャーによって悪化し、患者が仕事を維持したり、フルタイムで学校に通ったりする能力に深刻な影響を与える可能性がある。
  2. 起立性調節障害
    起立姿勢をとり、それを維持することによって症状が悪化するもので、起立時の心拍数や血圧の異常によって客観的に測定される。
    ふらつき、失神、疲労の増加、認知機能の悪化、頭痛、吐き気などの起立性症状は、日常生活で静かに直立した姿勢をとると悪化し、横になると改善する(必ずしも完全に解決するわけではない)。

米国医学研究所委員会は、「中等度から重度の強度で、これらの症状を半分以上の期間がしめていない場合、ME/CFS でないことを疑う必要がある」と明記しています。

ME/CFSの多くの方では、以下のような他の症状も伴っています。

  • 筋肉痛
  • 腫れや赤みのない関節痛
  • 新しいタイプの頭痛
  • 首や脇の下のリンパ節の腫れや痛み
  • 頻繁に起こる喉の痛み
  • 寒気や寝汗
  • 視覚障害
  • 光や音に対する過敏性
  • 吐き気
  • 食物、臭気、化学物質、薬物に対する過敏症

診断のパラドックスがあります。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、線維筋痛症、化学物質過敏症などは、検査などのマーカーが存在しない、医師を含めて認知度が低いことなどから、診断名が付けられた後でも、逆に周囲には病気と認められない場合があります。

この逆説的現象を「診断のパラドックス」と言います。

診断名自体が、認知されていない、確立されていない、難病に指定されておらず社会的支援を受けられないことが問題です。

うつ病との鑑別がポイントになります。

ME/CFSの作用機序は免疫過剰なので、身体症状(痛み、発熱、リンパ節の腫大など)があること、症状の持続期間が長く、うつ病ほど大きな症状の波がないことなどが相違点です。

歴史的には新しい疾患であり、現代病のひとつと考えられます。